石破茂前首相インタビュー
衆院議員、前内閣総理大臣
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1957年東京都生まれ。79年慶應義塾大学法学部卒業。同年、三井銀行(現三井住友銀行)入社。86年衆院初当選(衆院・旧鳥取全県区)。93年新進党入党。97年自民党に復党。農水相、防衛相、党幹事長などを歴任。2024年10月1日~2025年10月21日、内閣総理大臣。衆院13回(鳥取1区)。著書に『異論正論』、『日本列島創生論』など。
1953年北海道生まれ。77年東京大学文学部卒業。同年TBS入社。モスクワ支局長、『筑紫哲也ニュース23』編集長、ワシントン支局長、報道局長などを経て、2010年より『報道特集』キャスター。2022年退職し、現職。著書に『金平茂紀の新・ワジワジー通信』、『流れにさからう』など。
11月4日の単独インタビューに続く石破茂前首相インタビューの第2弾。今回は退任間際に公表した「戦後80年所感」に石破氏が込めた思いなどについて、ジャーナリストの金平茂紀氏とビデオニュースの神保哲生が石破氏に聞いた。
いわゆる戦後80年所感が、過去の慣例だった「談話」ではなく、所感にとどまった理由を聞かれた石破氏は、正式な談話にするためには閣議決定が必要で、そのためには党内の合意プロセスを経る必要がある。そうなると中身が削られる恐れがあったとして、「総理として自分の言葉で、歴史認識を示したかった」と語った。
また、石破氏は所感の中で、なぜあの戦争は起き、なぜ当時の日本はそれを止められなかったのか、という一点にこだわったとした上で、70年談話で安倍晋三首相が「当時の政治システムがそれを防げなかった、と安倍さんはさらりと書いた。だが、その『政治システム』とは何かを語らないと意味がない」と語った。そうした問題意識から、所感では文民統制や政党、議会、メディアの役割に触れたとした。
三島由紀夫の自衛隊観についても議論した。三島は1970年に自決した際の檄文で「自衛隊は永遠にアメリカの傭兵で終わる」と将来の日本に警鐘を鳴らしていたが、現在の米軍への依存や先の日米首脳会談での高市政権の振る舞いは、奇しくもその予言が的中したことを示すものだった。三島の警句の重さについて石破氏は「国家とは何か、自衛隊とは何かを論理的に突き詰めないのは知的怠惰だ」と語った。
石破氏が繰り返し強調したのはメディアの重要性だった。石破氏は丸山眞男や石橋湛山を引用しつつ、権力監視こそ民主主義の根幹だとした上で、高市連立政権の政策合意にスパイ防止法や国家情報局など、情報統制の強化に向かう文言が並んでいることを指摘。「権力が言論を統制して、良かった例は歴史上一度もない」と語った。
さらに、森友学園問題で赤木雅子さんの求めていた情報公開に踏み切った経緯については、「行政の公正性こそ国家の信頼の根本だ」と語った。
最後に自身のこれからの役割について聞かれた石破氏は、「国家が信頼に足るものであると示すこと」とした。