2026年04月25日公開

「裁判官も責任を問われるべきだ」

元裁判官・藤井敏明氏インタビュー

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ゲスト

元裁判官、日本大学法科大学院教授
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1956年千葉県生まれ。80年一橋大学法学部卒業。82年東京地裁判事補任官。東京地裁判事、東京高裁判事、最高裁調査官、司法研修所教官、長野地裁所長などを経て2022年退官。同年より日本大学法科大学院教授。

司会

概要

 冤罪となった大川原化工機事件をめぐり、長期勾留中に胃がんと診断され保釈が認められないまま亡くなった相嶋静夫さんの遺族が4月6日、保釈請求を却下し続けた裁判官37人の判断は違法だとして国家賠償請求訴訟を提起した。

 勾留を命じた裁判官の責任を問う国賠請求は異例中の異例だ。

 なぜ日本の裁判官は検察の主張を鵜呑みにして、容易に保釈を認めようとしないのか。裁判官は何を考えていて、そこにはどのような構造的問題があるのか。元刑事裁判官の藤井敏明氏がビデオニュース・ドットコムのインタビューに応じた。

 刑事訴訟法は保釈の請求があった時はこれを認めなければならないとした上で、ただし罪証隠滅のおそれがあると疑うに足る「相当な理由」がある場合、保釈を却下できると定めている。藤井氏は、裁判官の実務ではこの要件が具体的に検討されることなく、形式的に認定されてきていると自省を込めて語る。

 さらに、初公判が開かれるまでの保釈判断は事件の審理を担当しない裁判官が行う制度になっていることも、保釈を妨げている要因の一つとなっている。そもそもその事件を担当していないため、事件のあらましを詳しく理解していない裁判官が、検察が提出した大量の証拠を短時間で読み込み保釈の妥当性を判断しなければならない。万が一、自分が保釈を認めた被疑者が逃亡したり罪証隠滅を行う可能性を考えると、裁判官としては容易に保釈の判断を出しにくいと藤井氏は言う。

 裁判官当時を振り返り藤井氏は、保釈請求を却下する決定は、実際の裁判で判決を下すことと比べると、軽い気持ちで行われていたことを認めた上で、起訴された人の99%が有罪となる日本では、有罪を前提とした判断が働きやすくなっていると言う。

 しかし藤井氏は、大川原化工機事件で裁判官の責任を問う国賠訴訟が提起されたことについて、「裁判官も責任を問われるべきだ」と言う。国賠訴訟で責任を問われている37人の裁判官に、自分も入っていてもおかしくなかったと語る藤井氏は、「特定の裁判官がおかしな判断をしたのではなく、今の運用なら(誰がやっても)そうなる」と、これが構造的、制度的な問題であることを指摘する。

 元刑事裁判官で、現在は日本大学法科大学院で教鞭を執る藤井敏明氏に神保哲生が聞いた。

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