国民医療費抑制の議論に欠けている「患者」という視点
「医療情報の公開・開示を求める市民の会」世話人
1973年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。2000年に悪性リンパ腫と診断され、2回の再発を経験。01年より悪性リンパ腫患者会「グループ・ネクサス・ジャパン」に参加、06年より理事長。09年~13年、厚労省「がん対策推進協議会」会長代理。15年、一般社団法人「全国がん患者団体連合会」を設立し理事長に就任。
高額療養費制度の見直しが行われる。
現行制度の下では、医療費が高額になってもひと月に支払う医療費の自己負担の上限額が年収によって定められていて、それを超える医療費は支払わなくてよいことになっている。突然の病気やケガで入院し手術が必要になったときも、高額な薬剤を使って治療を続けなくてはならない患者にとっても大きな助けで、まさにリスクに備える保険となっている。
この制度をめぐって去年、政府が突然大幅な上限額の引き上げを示した。国民医療費が増加するなかで、現役世代の保険料負担の軽減を図るなどの観点から患者負担を増やそうとしたのだ。
しかし、現役世代のがん患者などから医療費が家計を圧迫するといった現場の声があがり、引き上げはいったんは見送られた。
その後、患者団体の代表を委員に加えた委員会で検討し、今回の見直しとなった。
長期に継続して治療を受けている多数回該当の患者の負担額の据え置きや、新たに1年間の上限額を設けるなど、いくつか改善を加えたが、それでも多くの患者にとっては負担の上限額の引き上げとなる。
患者団体として政府への要望などを続けてきた全国がん患者団体連合会理事長の天野慎介氏に、この1年余の活動と残る課題について、ジャーナリストの迫田朋子が聞いた。