2026年05月02日公開

武器輸出を解禁しても防衛産業の成長にはつながらない

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ゲスト

防衛ジャーナリスト、元東京新聞論説兼編集委員
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1955年栃木県生まれ。下野新聞社を経て91年中日新聞社入社。92年より防衛庁(省)担当記者。東京新聞編集局社会部記者、編集委員、論説委員を経て2020年退職し現職。獨協大学非常勤講師を兼務。著書に『半田滋の新・安全保障論』、『パラレル 憲法から離れる安保政策』など。

著書

概要

 政府は4月21日、武器輸出に関する方針を転換し、これまで半世紀にわたり禁止されてきた殺傷能力のある武器の輸出が可能になった。

 この大きな方針転換は何を意味するのか、実際にどのような武器の輸出が想定されているのかなどを、防衛省取材を長年担当してきた防衛ジャーナリストの半田滋氏に聞いた。

 半田氏はまず、国際的な武器市場はすでに成熟しており、後から参入することになる日本にとっては厳しい競争環境が待ち受けていると指摘する。日本製の武器はスケールメリットを欠くため価格面で割高であり、さらに実戦での使用実績が乏しいことも輸出の障壁になるという。そのため、実際に売れる可能性があるのは、あぶくま型護衛艦のような自衛隊の中古品に限られるのではないかとの見方を示す。しかし中古品は国有財産なので、仮に買い手が現れたとしても、その売り上げは国庫に入り、防衛産業の成長に直結しないことには留意が必要だと指摘する。

 武器輸出解禁の理由の1つとして、高市政権は防衛産業の成長を掲げる。しかし半田氏は、日本には他に成長が見込まれるような産業がないために、最後にすがる思いで武器輸出に踏み切ったのではないかと語る。確かにこれまで国策で武器を輸出しない政策を貫いてきた日本にとって、武器市場は手つかずの市場ではある。しかし、だからといって日本の武器が国際市場でどの程度通用するかは別問題だ。

 さらに半田氏は、対米関係の制約にも言及する。安全保障で全面的にアメリカに依存する日本が、アメリカの武器産業が持つシェアを奪いに行くという選択肢は考えにくい。例えば造船分野では、アメリカの造船業が衰退していることから、日本が護衛艦などを供給する余地はあるかもしれないが、日本が進出できる分野はあくまでアメリカと競合しない、またアメリカが容認してくれる分野に限定されることになるだろうと、半田氏は言う。

 結果的に実際に売れるような日本製の武器は想定しにくいのが実情だと半田氏は言う。「平和国家の看板を外すに等しい大きな政治決断のわりに、得られるものは限りなく小さい。マイナスの方が大きかったと歴史が後から言ってくるのではないか」と半田氏は語り、今回の方針転換に強い懸念を示す。

 武器輸出解禁の見通しとそのメリット、デメリットを、防衛ジャーナリストの半田滋氏にジャーナリストの神保哲生が聞いた。

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