ウォーターゲート事件の神話は崩壊したのか

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第219回)

完全版視聴について

放送終了したため、ご視聴いただけません。 から会員費をお支払いただくことでご覧いただけます。
完全版視聴期間 終了しました
公開日 2005年06月08日

ゲスト

共同通信特別編集委員

1946年京都府生まれ。69年大阪外国語大学(現大阪大学)卒業。同年、共同通信社入社。本社外信部、ワシントン支局長、特別編集委員などを経て2007年退職。名古屋大学大学院教授、早稲田大学大学院客員教授などを経て17年より現職。著書に『米中冷戦と日本』、『仮面の日米同盟』など。

著書

概要

 ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件で、謎の情報源「ディープスロート」の正体が、FBIのフェルト元副長官だったことが明らかになった。
 不正を働いた現職大統領を辞任にまで追い込んだこの事件は、ジャーナリズム界においては調査報道の金字塔と賞賛され、伝説として今日まで語りつがれてきた。しかし、その情報源が警察高官であったという事実の持つ意味は重い。
 ウォーターゲート事件が表面化する1ヶ月前、48年間FBI長官の座に君臨したフーバーが死亡し、ニクソンは自らの腹心だったグレーをフーバーの後任としてFBIに送り込んだ。しかし、フェルトらフーバー派にとって、これは到底受け入れられる人事ではなかった。フェルト自身が、自分が長官に指名されることを密かに期待していたことも事実のようだが、それよりも更に深刻なことは、外部から長官が入ってくれば、フーバー体制下のFBIの違法捜査の数々が、白日のもとに晒されてしまう。フーバー体制下のFBIは、強権的な違法捜査体質が長年批判されいたものの、スキャンダル情報を握られているが故に名だたる歴代大統領たちでさえFBIに手出しはできなかったと言われている。半世紀に及ぶフーバーFBIはもはやワシントンではアンタッチャブルな存在になっていたのだ。
 そこで、フーバーの片腕だったフェルトは、当時まだ新興勢力だったワシントンポストの若い2人の記者に接近し、警察でなければ知り得ないはずの、ニクソン追い落としのための情報をリークする。ウッドワード、バーンスタインの2人の熱心な若手記者はその情報をもとに忠実に取材を重ね、最後はフェルトらFBIの思惑通り、ニクソンが葬り去られる。
 ワシントン特派員を2度経験し、アメリカ政治に詳しい共同通信の春名氏は、ディープスロートの正体がFBI高官だったことは、警察権力が時の政権をも転覆する力を持っていたことの証左となったとして、むしろこの事件では警察権の濫用にこそ警戒する必要があると指摘する。リークしたフェルト氏が極秘情報を記者に流した動機が、ニクソンの人事に対する報復だったとすれば、ウォーターゲート事件とは、警察を改革しようとした大統領が、警察のリークに踊らされたメディアによって葬り去られてしまった事件だった、ということになりかねないからだ。
 ウォーターゲート事件がその後の政治、及び政治報道に与えた影響とは何だったのか。その黒幕の正体がFBI高官だったことが明らかになったことで、その評価はどう変わってくるのか。これが報道の情報源秘匿の原則にどのような影響を与えるのか。春名氏とともに考えた。

ディスカッション

コメントの閲覧、投稿は会員用機能です。
会員の方はログイン
会員でない方は入会(月額550円)

月額550円で最新放送を視聴

毎週の最新放送の視聴、会員限定放送の視聴、コメントの閲覧と入力が可能になります。>入会について