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今、ロッキード事件の真相がとても重要な意味を持つ理由

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1022回)

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完全版視聴期間 あと75日11時間53分
公開日 2020年11月07日

ゲスト

ジャーナリスト

1946年京都府生まれ。69年大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。同年、共同通信社入社。本社外信部、ニューヨーク特派員、ワシントン支局長、編集委員、論説副委員長などを経て2007年退職。名古屋大学大学院教授、早稲田大学大学院客員教授などを経て17年より現職。09年、外務省の「いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会」の委員を務める。著書に『米中冷戦と日本』、『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』など。

著書

概要

 アメリカ大統領選挙はどうやらバイデン元副大統領が郵便投票分と期日前投票分で終盤に追いつき、トランプ大統領の再選を阻止する結果となりそうだ。

 しかし、11月3日の投票日の開票分では優位に立ちながら、後日開票された1億票を超える郵便投票や期日前投票分で逆転されたことに不満を隠さないトランプ大統領は、5日の記者会見でも相次ぐ訴訟で徹底抗戦の構えを見せており、このまますんなり政権交代が実現するかどうかは、依然として予断を許さない状況にある。

 それにしても、現職のアメリカ大統領が記者会見で合衆国大統領の印章の前に立ち、「選挙は不正だった。だから裁判で白黒をつける」と宣言をして憚らないのだ。結果の如何にかかわらず、この選挙がアメリカ社会の分断と民主主義の機能不全がもはやのっぴきならないところまで進んでいることを、満天下に知らしめる機会となったことだけは、誰の目にも明らかだろう。

 今回のテーマのロッキード事件は、日本では田中角栄元首相の逮捕につながったことから、戦後最大の疑獄事件として歴史に刻まれている。

 しかし、長年この事件の真相を追い続けてきた元共同通信記者でジャーナリストの春名幹男氏は、10月30日に新刊『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』の中で、真の巨悪は田中角栄とは別にいたことを指摘すると同時に、アメリカは高度に政治的な理由からその巨悪を見逃す一方で、独自外交を展開するなどしてアメリカにとっては邪魔な存在だった田中角栄を失脚させるために、意図的に田中に関する証拠だけを日本側に提供していたことを、数々の公文書や証言などを丹念に辿ることで明らかにしている。

 春名氏は特に田中が、アメリカの意に反する形で独自の対中外交を展開したことと、中東においても独自の資源外交を指向したことが、当時アメリカ外交の最高権力者だったキッシンジャー国務長官の逆鱗に触れ、キッシンジャーの政治判断で、対日工作の対象者として田中の実名が入ったロッキード社の内部資料がSEC(米証券取引委員会)から日本の検察に引き渡されたことが、公文書などによって明らかになったと語る。

 実はロッキード社がSECに提出した対日工作関連の資料は膨大な量にのぼり、SECから日本側に渡された資料は、そのほんの一部に過ぎなかった。その中にあえて田中の実名が入った資料を含ませたのは、キッシンジャーの意向を受けた高度に政治的判断に基づくものだったと春名氏は言う。そして、恐らく日本側に提供されなかった資料の中には、元A級戦犯で戦後右翼のフィクサーとして政財界に隠然たる影響力を持ち続けた児玉誉士夫氏らの名前があった可能性が高いと春名氏は指摘する。

 春名氏の見立てでは、ロッキード社の対日工作の主目的は民間機よりも遙かに巨額の取引となる防衛品調達、とりわけ対潜哨戒機P3-Cの売り込みで、そのために裏で動いた人物の中に児玉らの「巨悪」が潜んでいた。しかし、アメリカ側には児玉をあえて刺さなければならない動機がないばかりか、児玉に連なる人脈の中にはアメリカ側にも大勢の「巨悪」が含まれており、それが白日の下に晒されるようなことになれば収拾が付かなくなるため、アメリカ側がそうした資料を日本に渡すはずがなかったと春名氏は言う。

 しかし、そんな事情を知ってか知らなかったはともかく、アメリカからもらった資料の中に元首相の名前を見つけた日本の検察は色めき立ち、「巨悪見つけたり」と言わんばかりの勢いで一気に田中逮捕に突き進んだ。

 毀誉褒貶はあるが、少なくとも外交的には日本がアメリカの軛から逃れ、独自の外交ポジションを獲得することを志した田中という政治家を巨悪に祭り上げることでいとも簡単に失脚させ、メディアも丸ごとこれに乗っかり、一時は今太閤と呼ばれるほどの権勢を誇った田中が悪の権化として転落していくのを目撃することで、日本中が溜飲を下げた。それがロッキード事件だった。しかし、もしかするとその時日本は、とても重要な選択肢を一つ失っていた可能性があるのではないか。

 自覚的だったか否かにかかわらず、ロッキード事件で田中という希代の政治家の失脚によって事実上独自外交という選択肢を失った日本には、その後、どこまでもアメリカについていく路線しか残っていなかった。そして、問題はその時日本が図らずも「地獄の底まで付いていく」ことを決めたアメリカで今起きていることを、われわれはどう考えるのか、だ。今やアメリカは1日10万人を超える新規のコロナ感染者を出し、死者も既に23万人を超える世界最大のコロナ対策後進国であると同時に、大統領選挙すらまともに行えないところまで社会が傷んでいる国なのだ。

 そのアメリカから兵を出せと言えば、これまで国是としてきた国策を無視してでも兵を出す。アメリカに買えと言われれば必要性とは無関係に言われた兵器を買う。春名氏の話を聞くと、今の日本のこの立場が、実はロッキード事件にその根っこがあったように思えてならない。

 アメリカ大統領選挙の開票状況を横目で睨みながら、新著でロッキード事件の真相に迫った春名氏と、ロッキード事件とは何だったのか、なぜ、そして誰によって田中は潰されたのか、その結果、日本にはその後どういう影響が出たのか、さらに今の日本にはどんな選択肢が残されているのかなどを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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