2013年12月14日公開

マディーバ(ネルソン・マンデラ)の真の追悼とは

ニュース・コメンタリー ニュース・コメンタリー (第01回)

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概要

12月5日に死去した南アフリカ共和国の元大統領ネルソン・マンデラ氏の追悼式典が12月10日、オバマ米大統領など各国の首脳らを招いてヨハネスブルクで盛大に開催され、日本でもその模様は大きく報じられた。
しかし、真にマディーバ(マンデラ氏の愛称)を追悼する気があるのなら、日本は氏の功績を讃えると同時に、もう一つ振り返らなければならないことがあるはずだ。
南アフリカは1994年にアパルトヘイト政策が完全撤廃されるまで多くの黒人が圧政を強いられていた。1980年代以降、国際社会はアパルトヘイトの撤廃を求めて、南アフリカに様々な経済制裁などを課してきたが、日本はそうした制裁には加わらず、貿易相手として同国のアパルトヘイト政権を支え続けた。その結果、1988年には日本は南アフリカの最大の貿易相手国になっている。
これは厳しい見方をすれば、マディーバがアパルトヘイト政権の圧政によって終身刑の判決を受けロビン島に収監されている時に、日本はその南アフリカの白人政権の圧政を横から支える役回りを演じていたことに他ならない。
本来であれば黄色人種の日本人はアパルトヘイト政策の下では被差別人種になるが、当時日本人は、南アフリカ政府からその経済的な貢献への謝意を表する意味で、「名誉白人」なる身分を与えられ、社会的には白人に準ずる待遇を受けていた。このことをマディーバはじめ黒人たちがどう受け止めていたかにまで、われわれは思いを馳せてみる必要があるだろう。
マディーバは政治犯として27年間を獄中で過ごした。もし氏を本気で追悼する意思があるのであれば、日本は世界中で政治犯を抱えている国々に対してその釈放を求めるなど、より積極的な人権外交を展開するべきだ。そうした国々と無節操に経済関係を深めることは、ちょうど日本が間接的にマディーバを苦しめる側に回ってしまったのと同様に、第2第3のマンデラを苦しめているかもしれない。そのことを、われわれは80年代の対南アフリカ政策の失敗から学ぶべきだろう。
ネルソン・マンデラ氏の真の追悼とは何かをジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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