自民党総裁選から読み解く日本の現在地とその選択肢
法政大学法学部教授
1970年茨城県生まれ。95年東京大学農学部卒業。同年、通商産業省(現経済産業省)入省。2003年退官後、東京財団研究部ディレクター、筑波大学客員教授、学習院女子大学大学院非常勤講師などを経て、09年民主党より衆院初当選。その後3度の落選(うち1回は比例復活)を経て、21年に無所属で衆院当選。同年、無所属議員4人と衆院会派「有志の会」を結成。衆院3期(茨城1区)。著書に『エネルギー政策は国家なり』、共著に『生物資源アクセス』。
第12回のポリティコは無所属の衆院議員、福島伸享氏をゲストに招き、先月6月21日に閉会した国会を振り返るとともに、かつて民主党から当選した福島氏がなぜ無所属での出馬にこだわるのかなどを聞いた。
福島氏は本番組司会者で政治ジャーナリストの角谷浩一が、「イチ推し」を公言する注目の政治家だ。角谷氏は元経産官僚の福島氏は頭も良く政策に通じているのはもとより、腹が据わっていて一本筋が通った、最近の政界においては絶滅危惧種といっても過言ではないほど貴重な政治家だと言って憚らない。
福島氏は2021年11月、無所属議員5名と国会内に院内会派「有志の会」を結成したが、いまだに政党としては登録していない。しかし、小選挙区制がメインの衆院議員選挙で無所属候補が勝ち抜くのは容易ではない。政党の選挙組織を使えないばかりか、僅差で敗れても比例復活ができないからだ。にもかかわらず、福島氏は無所属での出馬にこだわってきた。その理由として福島氏は、旧民主党の候補を応援に行った時、そこに集まった支持者の大半は政党の伝統的な支持者で、個人として無所属の福島氏を支持してくれている福島氏の支持者とは大きな違いがあることを感じたからだという。
今国会では多くの問題を孕んだ法案が野党のさしたる抵抗もなく次々と可決されていった。このような政治状況を変えるためには政権交代が必要であり、そのためには組合依存体質から抜けきれない民主党の枠を越えて、新たな受け皿の下に野党が結集する必要があると福島氏は語る。そして、有志の会がその受け皿になりたいと福島氏は言うのだ。
野党への支持が低迷している理由は、冷戦終結以降停滞を続ける日本の中で、自民党に代わって自分たちがどのような役割を果たすべきかについて、明快な理念と信念を語れていないからだとする福島氏と、政治ジャーナリストの角谷浩一、神保哲生が議論した。