国が旧優生保護法の過ちを認め上告を断念すべきこれだけの理由
弁護士、優生保護法被害全国弁護団共同代表
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旧優生保護法の下で強制的に不妊手術を受けさせられたことに対し国家賠償を求めて争っている飯塚淳子さん(仮名)と、被害者弁護団の新里宏二、徳田靖之両弁護士が6月21日、日本外国特派員協会で会見し、被害者が高齢化していることなどを理由に早期解決に向けた政府による政治決断の必要性を訴えた。
日本では1948年から96年までの間、優生思想に基づく優生保護法が施行され、その間、約2万5,000人の障害を持つ人が不妊・中絶手術を受けさせられた。そのうち強制的に行われたのは1万6,475件にのぼり、3分の2にあたる1万1,312人は女性だった。96年に同法が母体保護法に改正され優生条項が削除された後、同法の下で同意なき不妊手術を受けさせられた被害者が名乗りを上げ政府に謝罪と補償を求めたが、政府は手術は同法の施行時は合法だったとして、これを拒絶してきた。
16歳の時に手術の内容を知らされないまま不妊手術を受けさせられ、現在77歳の飯塚さんは会見で、「優生手術は私から幸せな結婚や子どもというささやかな夢をすべて奪いました」「優生手術によって私の人生は狂わされてしまったのです」と、手術が自らの人生に与えた影響の大きさを涙ながらに訴えた。
現在全国12の裁判所で38人の被害者が国家賠償を求めて裁判を行っている。当初、地裁判決では、旧優生保護法が憲法違反の法律であったことは認めたものの、すでに20年の除斥期間が経過していることを理由に原告の訴えを棄却する判決が続いた。しかし、2022年に大阪高裁が賠償を認める判断をして以来、高裁・地裁合わせて6つの裁判で原告側が勝訴、これに対し、国が上告を続けていた。さらに、今年6月1日の飯塚さんらの仙台高裁判決では、やはり除斥期間を理由に、損害賠償を認めなかった。
全国被害者弁護団団長の新里弁護士は、憲法違反の法律のもとで人権を侵害したことの重大さと被害者が高齢化していることなどを指摘、早期に国が責任を認めることの重要性を強調した。