2018年8月7日
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人権侵害の温床となる外国人技能実習制度は即刻廃止すべき

指宿昭一氏(弁護士)
インタビューズ(2018年8月7日)

 日本が実際には世界第4位の移民大国でありながら、公式には移民を受け入れていないという立場を取っていることから、建前と実態が大きく乖離している問題は、近著「コンビニ外国人」の著者、芹澤健介氏と今週のマル激で議論したばかりだ。(マル激トーク・オン・ディマンド第906回(2018年8月18日)『移民はいないことになっている世界4位の移民大国日本』ゲスト:芹澤健介氏(ライター)
 
 中でも外国人技能実習制度は、多くの事業者が人手不足を解消するための手段として利用しておきながら、建前上は国際貢献や教育目的を掲げているために、労働者としての基本的な権利が確立されておらず、結果的に苛酷な労働やパワハラ、セクハラなどが横行する人権侵害の温床となっている。

 トラブルに巻き込まれた外国人技能実習生を支援する「外国人技能実習生問題弁護士連絡会」の共同代表を務める指宿昭一弁護士によると、技能実習生の多くは日本に来るために多額の手数料をブローカーに支払っている場合が多く、その返済に追われる身のため、就労先で人権を無視したような扱いを受けても、簡単に仕事を辞めることができないのだという。それをいいことに、安い賃金や劣悪な条件で外国人実習生をこき使おうとする受け入れ事業者が後を絶たないと、指宿氏は指摘する。
 
 指宿氏はまた、最近コンビニなどで働いている姿をよく見かけるようになった外国人留学生についても、学生ビザで入国した者は本来は週28時間までしか働けないルールがあるにもかかわらず、実際は複数の職場を掛け持ちすることで、ほとんどの時間をアルバイトに費やしている留学生が多いのが実態だと語る。彼らもまた、来日前にブローカーに多額の借金をしている場合が多いのだそうだ。

 技能実習生にしても留学生にしても、その多くが事実上は出稼ぎで日本に来ているのが実情で、雇う側も明らかに人手不足を解消する目的で雇っている事業者がほとんどだ。にもかかわらず、建前上は別の目的で来ていることにしているために、本来の労働者としての権利が守られないのだ。

 OECDによると、2015年の外国人移住者統計で、日本に移住した外国人の数は前年比約5万5千人増の約39万人となり、前年の5位から韓国を抜いて4位に上昇したという。ちなみに2015年のトップ3は1位がドイツ(約201万6千人)、2位が米国(約105万1千人)、3位が英国(47万9千人)だった。日本はこれに次ぐ世界第4位の、押しも押されもしない移民大国なのだ。
 
 人口減少と少子高齢化に瀕した日本は今や人手不足が深刻で、外国人労働者に頼らなければもはや日本経済は回らない状態にある。しかし、日本は移民を認めていないし、定住に繋がるとの理由から、基本的には外国人の労働者を受け入れない政策を維持している。少なくとも建前上はだ。

 指宿氏は労働力を必要としているのであれば、きちんとした形で労働者として受け入れるべきで、現在のように政府が公然と「抜け穴」を作っているような状態は、即刻やめるべきだと主張する。建前と実態の乖離がある限り人権侵害は無くならないというのが、その理由だ。

 人権侵害を受けた外国人技能実習生を支援する弁護士の指宿氏に、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。

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