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超高齢社会の介護問題を参院選の争点にしないでどうする

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1103回)

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公開日 2022年05月28日

ゲスト

NPO法人暮らしネット・えん代表理事

1952年長野県生まれ。70年立教大学文学部入学。84年~96年新座市議会議員。96年堀ノ内病院在宅福祉部門「ケアサポートステーション・MOMO」開設。97年ミニデイホーム「コスモスの家」開設。2003年「NPO法人暮らしネット・えん」を設立し現職。

概要

 7月10日に投開票が予定される参議院議員選挙まで、残すところ一月あまりとなった。

 アンケートなどを見ると、有権者の関心事としては必ず社会保障があげられているが、残念ながら現時点では選挙の大きな争点となっていないようだ。しかし、その一方で、政府内部では2024年度の医療・介護報酬同時改定に向けてさまざまな制度改革の議論が既に始まっている。

 医療介護は市民の生活に深く関わる問題だが、これまでの改革は、政府の経済財政諮問会議や審議会で提案された後、十分に議論されることのないまま制度変更が繰り返されてきた。今回も、5月25日の財政審では、介護分野の利用抑制と効率化を前提とした制度の見直しが提案されている。

 2年間にわたるコロナ禍は、介護保険制度の問題点を露わにした。もともとあった人材不足はさらに加速し、小規模な介護事業所のなかには経営が立ち行かなくなるところも出てきている。介護従事者は医療従事者と同じエッセンシャルワーカーであるにもかかわらず、医療と比べてワクチン接種PCR検査などの介護現場への対応は遅れた。第6波では介護施設で多くのクラスターが発生したが、在宅に取り残されたコロナ陽性の高齢者に対して行った訪問介護に対しては、なんの保障もされなかった。

 一方、介護保険の現状は、総費用、保険料ともに当初の予測よりもはるかに速いペースで増え続けている。総費用は2000年の3.6兆円から2022年度予算では4倍の13兆円あまりまで膨れあがり、65歳以上が負担する保険料の月額は全国平均で2,911円から6,014円と2倍になっておりすでに限界に近付いているのが実情だ。

 こうした事態を受けて、政府内では軽度の要介護者を介護保険サービスの対象から外すことや、現行で1割となっている利用者負担の増額などが提案されている。これらは制度の持続可能性からの発想ではあるが、それ以前の問題として、高齢者の暮らしを支え続けるためには何が必要かを考えるのが先ではないかと、埼玉県新座市の介護事業所「暮らしネット・えん」代表理事の小島美里氏は指摘する。このままでは、いざサービスを利用する段階になって必要なサービスが提供されていなかったり、条件が合わない、負担が高すぎるなど、利用しにくい制度ができあがってしまう恐れがある。それに気づいたときには時すでに遅しという事態が十分想定されると、小島氏は危惧する。

 介護現場の人手不足も依然として深刻な状況が続いている。とくに訪問介護の分野では、有効求人倍率が15倍にのぼり、このままでは訪問介護のヘルパーがいなくなると小島氏は語る。その一因として挙げられる低賃金の問題については、この2月にスタートした福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金では、平均給与9,000円アップが謳われている。しかし、これも常勤換算した介護職員に相当する額が事業所に給付されるというもので、そのまま職員の給与アップにはつながってはいないのが現状だ。

 そもそも介護保険は、住み慣れた家に最期まで暮らし続けることを可能にするための制度として始まった。しかし、政府が現在進めている「地域包括ケアシステム」は、住み慣れた「地域」で暮らすことを謳っており、在宅サービスの充実を主眼とはしていない。高齢者の住まいとして、各地に作られ始めているサービス付き高齢者住宅などへの訪問介護サービスへの締め付けも始まっているという。

 全世代型社会保障やヤングケアラーなど、介護分野では新たな課題が表面化しているようにもみえるが、問題の根幹にあるのは、高齢者への社会保障が大きすぎることではなく、若い世代への対策が少なすぎることだ。いま注目されているヤングケアラーの問題でも、現行の制度を十分に活用できるようにすれば解決できる問題も多いと小島氏は言う。介護問題はケアを受ける高齢者だけでなく、その子ども世代や、自らの先行きを考える働き盛り世代など、多くの人に影響を与える問題であることを、われわれは認識する必要がある。

 超高齢社会をひた走る日本では、将来に向けてどのような議論が必要なのか。この問題こそ参議院議員選挙で争点にしてほしいと訴える小島美里氏と、社会学者の宮台真司とジャーナリストの迫田朋子が議論した。

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