2006年10月20日
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日本核武装論を嗤う

吉田康彦氏(元IAEA広報部長)
マル激トーク・オン・ディマンド 第291回

 北朝鮮の核実験を受けて、日本の核武装の是非が盛んに取り沙汰されている。
 しかしそうした一連の議論は技術的に日本が核を保有する能力を持っているか否かや、核武装が憲法上認められるか否かといった観念論の域を出ていないかに見える。
 その一方で、日本では殆ど報道されないが、日本はIAEA査察官が8人も常駐するれっきとした核査察対象国だ。北朝鮮の核実験直後の米国主要各紙の報道にも見られるように、世界の目は日本の核武装の可能性について、日本人の想像を遙かに超えるほど敏感になっている。
 核拡散を防ぐための査察を行う国連機関IAEA(国際原子力機関)で日本支部の広報部長を務めた経験を持つ吉田氏は、そもそもIAEAという組織が、戦後日本とドイツの核武装を防ぐことを最大の目的に結成された組織であることを、日本人の多くが正確に認識できていないのではないかとの疑問を呈する。
 吉田氏は、日本の核保有が技術的には可能だとしても、万が一日本がそのような方向に一歩でも踏み出せば、国際政治上大変な代償を伴うと言う。日本が核兵器を保有するためにはNPT(核拡散防止条約)を脱退する必要があるが、その際に起きるだろう国連安保理による制裁や各国からのエネルギー供給の停止に、資源の無い日本が耐えられるはずがないというのだ。
 果たして核武装論者はこうしたリスクを理解した上で核保有を主張しているのか、と吉田氏は訝る。
 また、吉田氏は、北朝鮮の関心は「一にも二にもアメリカ」であり、今回の核実験は米朝二国間協議を実現させ、将来的にはアメリカとの国交正常化をするための手段に過ぎないとの見方を示したうえで、視聴率目的で情緒的な北朝鮮脅威論を煽るメディア報道に苦言を呈する。
 そもそも核兵器とは何なのか。日本の核武装は国際的にはどのような意味を持つのか。日本は今後北の核の脅威にどう対応していくべきなのか。吉田氏と共に考えた。

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