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遠隔操作ウィルス事件で逮捕起訴され勾留中の片山祐輔氏の弁護団が9月9日記者会見し、検察が開示した証拠から、片山氏の派遣先の同僚のPCからも「iesys.exe(遠隔操作ウィルス)」が見つかっていたことなどを明らかにした。しかし、この日、佐藤博史弁護士が最も声を荒げて訴えたのは、マスコミのリークに対する責任のあり方だった。
これまで複数の報道機関が、片山氏が使用していた携帯電話から、真犯人が送ってきた猫の写真と同じ写真が復元されたと報道していた。それが片山氏が犯人であるとの強い印象を与えていた。しかし、佐藤氏は検察から開示された証拠の中に、そのような写真がまったく含まれていないことを指摘した上で、「ペンを持ってる皆さんが、検察の暴走を止めるためにいるのか、それとも大本営発表みたいなことをずっと続けるのか。」と、一連の報道を厳しく批判した。
これまで多くの報道機関が、検察や警察しか知り得ない捜査情報をあたかも事実であるかのように報じ、それがその後の取り調べや捜査のみならず、その後の裁判にも大きな影響を与えてきた。しかし、報道された事実が、後の裁判で証拠として検察側から提出されないことも多い。
郵便不正事件で無罪となった村木厚子さんは、国に対し損害賠償請求を行ったが、裁判所はマスコミにリークをしたことの責任は認めなかった。その後、村木さんは国に対し、「検察が報道機関に捜査情報をリーク(情報漏えい)したために社会的評価が低下した」として、330万円の損害賠償を求める裁判を新たに起こしたが、一審、二審では「大阪地検の職員以外が情報提供した可能性を否定できない」として請求は退けられ、最高裁に上告している。
数々の事件で捜査情報がリークされていることは明らかだ。そもそも公務員である捜査官が捜査情報を外部に漏らすことは違法行為のはずだ。また、リークがその後の捜査において、明らかに被疑者や被告に不利に作用することも多い。にもかかわらず、なぜリークした側も、それを報じる側も責任を問われないのか。
ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。