五輪談合事件に見る、捜査能力の劣化で人質司法に頼らざるをえない特捜検察の断末魔

弁護士


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遠隔操作ウィルス事件で起訴勾留中の片山祐輔氏の弁護人を務める佐藤博史弁護士らは7月10日記者会見し、検察が片山氏の犯人性を証明するとして新たに提示された証拠について「拍子抜けするほど中身がなかった」と語った。
佐藤氏はこの日、検察側から片山氏の犯人性の証明とされる証拠の開示を受けたという。そこで開示された証拠の中には、江ノ島の猫に遠隔操作ウィルス入りのメディアが埋め込まれた首輪を付けたのが片山氏であった可能性をうかがわせるものや、派遣先のパソコンで遠隔操作ウィルスを作成した痕跡とされるものなどが含まれていたが、片山氏が遠隔操作ウィルス事件の犯人であることを直接裏付ける証拠は何ひとつ含まれていなかったと佐藤氏は語った。
そもそも片山氏自身のパソコンが遠隔操作されていた可能性が高い時に、片山氏のパソコンから疑わしい情報が出てきたり、遠隔操作ウィルスの痕跡が出てきたりしたとしても、それが片山氏の犯人性の証明になるのだろうか。
佐藤氏は、以前の誤認逮捕の教訓を検察は学んでいないのではないかと指摘する。昨年4人が誤認逮捕された際は、最終的に疑いをかけられた4人のパソコンから遠隔操作ウィルスやその痕跡が見つかったために、彼らが犯人ではないことが証明された。しかし、片山氏の場合は、遠隔操作ウィルスの痕跡が見つかったから片山氏が犯人だと検察は主張している。「それは本来は片山氏が犯人ではないことの証明ではないのか」と佐藤氏は語った。
そもそも犯行に使われたパソコンが遠隔操作されている可能性がある時に、誰が真犯人かを証明することは可能なのか。また、その場合、パソコンが遠隔操作されていたことを立証せずに無実を証明することが可能なのか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。