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2013年04月06日公開

「一人一票」で日本はこう変わる

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第625回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
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ゲスト

1942年鹿児島県生まれ。65年東京大学法学部卒業。同年住友銀行入行。69年司法試験合格。79年米国コロンビア大学ロースクール修了。84年米国ニューヨーク州弁護士登録。08年よりTMI総合法律事務所パートナー。一人一票実現国民会議発起人、共編著書に『真相・中村裁判』など。

概要

 やはり日本は民主主義国家ではないのだろうか。

 繰り返し違憲の烙印を押されながらこれまで放置されてきた「一票の格差」問題が、ここにきてようやく慌ただしく動き始めた。先の衆議院選挙の無効を申し立てた16の裁判の判決が出そろい、2件の「違憲・無効」判決を筆頭に、全ての高裁判決で「違憲」または「違憲状態」が確認された。

 違憲判決のラッシュ、とりわけ無効判決に危機感を覚えたのだろう。政府・与党は「0増5減」の区割り変更によって何とか一票の格差を2倍未満に抑え込み危機を乗り越えるつもりのようだが、そんなものは何の解決にもなっていない。0増5減では2011年の違憲判決で最高裁が求めている一人別枠方式はまったく手つかずだし、そもそも最初から1.998倍の格差がついた制度変更が許されるという発想自体が、憲法や民主政治の精神を根本から冒涜している。
 いきおい、既に2つの弁護士グループが、今夏の参院選挙、そして次の衆院選挙で「差し止め」や「無効」を求める訴訟を準備している。恐らく違憲・無効判決が出るのは必至だろう。
 「一人一票実現国民会議」の発起人で数々の選挙無効裁判の原告でもある升永英俊弁護士は、日本では議員1人当たりの人口格差が20万人以上もあるのに対して、例えばアメリカのペンシルバニア州ではたったの1人であることを指摘した上で、日本では民主主義の基本が理解されていないと嘆く。

 また升永氏は、昨年の総選挙に対して起こされた16の裁判のうち、選挙における人口比例原則を確認した福岡高裁の判決に最も注目しているという。福岡高裁では判決は「違憲状態」にとどまったが、「投票の平等」が定義されている。これこそが憲法が謳う法の前の平等だと升永氏は言う。

 その上で、升永氏は今夏の参院選挙と2016年の参院選挙、そして次期衆院選挙で、全選挙区で一斉に選挙無効裁判を起こす考えだという。これまでの一票の格差裁判は公選法の規定に基づき、特定の選挙区のみで訴訟が提訴されてきたため、選挙全体を無効とする判決を出すことが難しかった。裁判所はそのあたりの事情を考慮に入れ、違憲ながらも選挙自体は無効としない事情判決を繰り返し出してきた。しかし、もし無効訴訟が全選挙区で一斉に提起されれば、事情判決を出す理由が無くなるはずだと升永氏は言う。

 「一票の格差」は民主主義の基本原則に反する一方で、われわれの日々の生活にも大きな影響を及ぼしている。計量政治学が専門の小林良彰慶應大学教授は、「少ない人口で選出された過剰代表議員(多くは地方部選出)の公約や発言が、現実の政策に反映されやすくなっている」ことを指摘する。また、一票の格差問題に詳しい和田淳一郎横浜市立大教授も、一票の価値が軽い都市部の有権者の利益が軽視されることで、日本経済全体が非効率になっていると指摘する。

 「一票の格差」とはわれわれ有権者の投票権に対する明確な差別であり、2倍未満ならいいという類の話ではない。また、これを放置しておくと政治が歪められ、経済的にも損失を被るなど、百害あって一理もない。そもそも日本人の多くは、現在の日本の一票の格差が、他の先進国と比べた時にどれだけ突出して大きいかさえ知らない。日本で投票権の平等を実現することは革命に等しいと語る「一人一票実現国民会議」発起人の升永氏とともに、一票の格差問題をジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が徹底的に議論した。

 

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