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2026年08月22日公開

副首都法から大阪都構想へという強引な流れは一度断ち切るべきだ

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1324回)

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ゲスト

1955年山口県生まれ。79年東京大学法学部卒業。同年自治省(現総務省)入省。内閣官房内閣審議官、総務省自治行政局行政課長、消防庁国民保護・防災部長などを経て2012年退職。中央大学大学院公共政策研究科教授、神奈川大学法学部教授を経て26年神奈川大学名誉教授。13年弁護士登録。編著に『地方自治論』、『市町村合併による防災力空洞化』など。

著書

概要

 何のための、誰のための副首都法なのか。

 国会会期を延長してまで通した副首都法だったが、背景には日本維新の会が強く主張してきた大阪都構想があり、政治的な動きばかりが目立つ。その一方で、この法律は住民にとってどういう意味があり、どのような課題があるのかが見えてこない。

 自民・維新の連立合意書にかかげられていた副首都法案は、与党が多数を占める衆議院を通過したあと、国会の会期を延長して参議院で審議入りし、7月24日に賛成123票、反対121票の僅差で可決した。国土政策にかかわる重要な内容であるにもかかわらず政府提出ではなく議員立法という形で提出されたこの法案は、議論が不十分なまま極めて短時間で成立している。

 副首都法は大規模災害に備え副首都を整備することを目的としているが、その要件は今後政令で定めるとされており、国の出先機関をどうするかや、すでに決定されている国土計画との関係など、不明な点が多い。地方自治が専門の幸田雅治・神奈川大学名誉教授は、大規模災害という観点からいっても、首都直下地震だけでなく南海トラフ地震などの大規模災害が想定されていることを考えれば、首都機能の複数地域への分散を考えるべきで巨大な副首都をつくる合理性はないと指摘する。

 維新がこの法律の成立を急いだ背景には、大阪都構想がある。大都市大阪の「市」を廃止して東京23区と同様な特別区を設置する大阪都構想は、これまで2度の住民投票で否決されてきた。吉村代表は、副首都法成立後の記者会見で、来年の統一地方選挙に合わせて大阪都構想の住民投票の同日実施を目指したいと発言し、物議をかもした。成立した副首都法の付帯決議に、地方選と住民投票の日程が重複しないように最大限調整する、とあるにもかかわらずの発言だったからだ。すでに、8月7日の大阪都構想の法定協議会では、現在の大阪市を4つの特別区に分ける案が示されており、今後これをもとに議論が進んでいくと考えられている。

 大阪市を廃止して特別区になるとどうなるのか。東京23区の例で考えれば、これまで大阪市が行っていた教育や福祉、ゴミ処理といった行政サービスが特別区の事務となり、権限と予算が区に移譲される。市立小学校が区立となり、市民税ではなく区民税を納めることになるのだ。一方でまちづくりなどの都市計画や消防・救急といった業務は大阪府が行うことになる。

 住民に最も身近な行政サービスを行う基礎自治体としての大阪市は現在人口280万。これを区分けして小規模にして住民により身近な自治体とし、大都市としての一体性を保つための機能は大阪府に移行する、という考え方自体はありうると語る幸田氏は、今の維新のやり方に住民自治の発想がないことを問題視する。

 特別区になれば区長、区議会議員も公選制となるが、大阪都構想の場合示されている議員数が他の同規模の自治体と比較して極端に少ない。区割りも含め、どういう街にしてゆくのか、市民が判断できるように提示して議論を積み重ねてゆくようなプロセスが見えてこないまま住民投票を繰り返すやり方でよいのかと、幸田氏は疑問を呈する。

 東京23区が基礎自治体として定着する過程では住民がともに考え選択してきた経緯がある。住民自治こそが重要だと考える幸田雅治氏と、社会学者の宮台真司、ジャーナリストの迫田朋子が議論した。

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