2006年4月7日
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それでもあなたは食べますか

安部司氏(添加物アドバイザー・『食品の裏側』著者)
マル激トーク・オン・ディマンド 第262回

 かつて食品添加物を専門に扱う商社のトップ営業マンだった安部氏は、自分が売っている添加物に誇りを持っていた。添加物のおかげで大勢の人が手軽に様々な種類の食品にありつくことができていたと考えていたからだ。添加物は多くの人に本来は高価な食品を安価で届けることを可能にし、同時に消費者のコンビニエンスと企業の利益にも貢献できているとの自負が、安部氏にはあった。
 しかし、ある日自宅の食卓で自らが開発した100円ミートボールを自分の子供たちが美味しそうに頬張る姿を見た時、安部氏の考えは根底から変わった。それはとてもミートボールとは呼べない「添加物の塊」でしかないことを、開発者の安部氏が誰よりも知っていたからだった。
 その後安部氏は添加物商社を辞め、添加物の知識を活かした「添加物アドバイザー」に転じた。食品に本当は何が入っているかをより多くの人に知ってもらうためだ。安部氏にとっては添加物を売り続けた半生への悔い改めの意味もあった。
 論より証拠。安部氏は「白い粉」だけを使って作った豚骨スープや、水とサラダ油だけで作ったコーヒーフレッシュなどを実際にスタジオで作って見せてくれた。しかも、それは味も見てくれも「実物」とほとんど区別がつかないほど精巧なものだった。
 恐るべし添加物の魔術。
 しかし安部氏は、添加物を全面的に否定する立場は取らない。添加物にも一定のメリットはある。そもそも添加物なしでもはややっていけないと言っていいほど、既に私たちの食卓は添加物漬けになっている。
 むしろ問題は、食品表示もろくに見ずに添加物を平気で子供に食べさせている親たちの意識の方だと安部氏は言う。現行の食品表示法制には弱点はあるものの、添加物がどの程度使われているかは、食品表示を見ればある程度わかるようにはなっている。それをろくにみもせずに、安直に添加物漬け生活を送る人が多すぎると言うのだ。
 食品の裏側を知り尽くした安部氏とともに、食品添加物の実情と問題点を考えた。

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