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「永遠の化学物質」汚染の拡大を止めよ

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1081回)

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完全版視聴期間 あと61日20時間12分
公開日 2021年12月25日

ゲスト

京都大学名誉教授・社会健康医学福祉研究所所長

1952年兵庫県生まれ。78年東北大学医学部卒業。秋田大学医学部助教授、京都大学医学研究科環境衛生学分野教授を経て2018年より現職。同年より京都大学名誉教授。共著に『永遠の化学物質 水のPFAS汚染』、『社会的弱者への診療と支援 格差社会アメリカでの臨床実践指針』など。

著書

概要

 コロナ禍で見過ごされてきた問題の中に環境問題がある。特に日本では目の前にコロナのような切迫した問題があると、環境問題は後回しにされる傾向があるようだ。

 そこで2021年最後のマル激となる今週は、「永遠の化学物質」の異名を取るPFASによる環境汚染と健康被害の問題を取り上げる。

 PFASは人工的に製造され、非常に安定していてほとんど破壊されないために「forever chemical(永遠の化学物質)」の異名を取る「パーフルオロアルキル化合物、ポリフルオロアルキル化合物及びこれらの塩類」と呼ばれる化学物質の総称で、現在4730種類ほどが存在する。このうち、特に代表的なものとして、PFOA(ピーフォア=パーフルオロオクタン酸)とPFOS(ピーフォス=パーフルオロオクタンスルホン酸)の2つの化学物質が、様々なルートから生態系に放出され、それが体内に蓄積されることで深刻な健康被害をもたらしていることがわかってきた。日本では「PFAS」も「パーフルオロアルキルなんとか」も聞いたことがないという方が多いだろうが、実は世界では2021年に入ってから一斉にPFASに対する問題意識が高まりを見せ、アメリカEUが規制に乗り出しているのに対し、日本ではほとんどこれが話題にさえなっていない状況だ。

 今、日本でも劇場公開中の『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』という映画はまさにこのPFAS汚染を真正面から扱った社会派映画だが、監督にトッド・ヘインズ、主演にマーク・ラファロ、助演にティム・ロビンス、アン・ハサウェイと、ハリウッドの錚々たる面々が参加しているのを見ても、今アメリカでPFAS問題がどれだけ大きな認知を受け始めているかがわかるだろう。

 なぜここに来て、PFASがそれほど大きな問題になっているのか。それは、第一義的にはPFASが、焦げ付かないフライパンや炊飯器、消火器、撥水加工された紙や繊維(スキー用具や雨具)、化粧品など、われわれの日常生活とは切っても切れないほど密接な繋がりを持つ化学物質でありながら、実はそれが深刻な健康被害をもたらしていることが明らかになってきたからだ。また、この人工物質が「永遠の化学物質」の異名を取るように、一度製造され生態系に放出されると、容易には分解されず、生態系の中をほぼエンドレスに循環し続けることになるからだ。それは土壌、農産物、地下水、水道水、魚など、人間が口にするものを全て汚染していく。そのため、人間が体内に取り込まないような規制が急がれるのと同時に、新たにそのような化学物質が製造されないような国際的な枠組みの構築が求められている。

 PFASの中でもとりわけ問題になっているのが、PFOAとPFOSの2つの物質だ。これは8つの炭素とフッ素を結合されたもので、他のPFASと同じく非常に安定度が高く壊れにくいと同時に、脂肪酸と分子配列が非常によく似ているため、有害物質であるにもかかわらず人体が積極的に体内に取り込もうとしてしまう性格を持つ。この点はかつて問題になったダイオキシンなどの環境ホルモンともよく似ている。しかも、この2つの物質は尿などで体外に排出されにくいため、何年、いや何十年も人体の中にとどまり、様々な病変の原因となる。

 現時点で日本で基準を超えるレベルのPFOA、PFOS汚染が確認されているのが、沖縄米軍基地周辺と、大阪のダイキン工業の摂津工場周辺、そして東京の横田基地周辺だ。ただし、もちろんこれから他にもいろいろ出てくる可能性はある。

 大阪の摂津市と沖縄の宜野湾市で住民の血液検査を実施した小泉昭夫・京都大学名誉教授は、両市で住民の間に高いPFOA、PFOS濃度が確認されたと語る。

 米軍基地の周辺では、消防訓練に用いられる消火器の泡消化剤にPFOAやPFOSが使われていることがわかっており、それが地下水などを通じて漏れ出して近隣の水源を汚染した可能性が高いが、今のところ米軍が汚染の事実を認めていないため、現時点では汚染源については仮説の域を出ない状況だ。

 この問題を取材してきたジャーナリストのジョン・ミッチェル氏によると、米軍は米国内の米軍基地(主に空軍基地)と韓国、ホンデュラス、ドイツなどの米軍基地では泡消火剤によるPFAS汚染があったことを認めた上で、その利用を中止するなどの措置を取ったことを公表しているが、日米地位協定によって米軍の権利が手厚く守られている日本では、まだ汚染の事実はおろか、PFOAやPFOSを使った消火剤を使ってきたことすら認めていないという。ただし、ミッチェル氏が米・情報自由法に基づいてPFASに関連した公文書を開示させた結果、米軍は1990年にはPFASの有害性にも、消火剤による基地内の汚染にも気づいていたことがわかっているという。

 いずれにしても日本ではPFAS問題はまだ汚染源の調査を進めなければならないレベルなため、今後汚染源の特定や汚染地域に住む住民の健康調査と健康被害の実態把握など、先は長い道のりになりそうだ。しかし、幸か不幸かPFASは「永遠の化学物質」なので、この問題はそう簡単には消えてなくならない。消えてなくなるどころか、日本では未だに3万トンものPFASを製造し、輸入も行っている状態だ。

 ちなみに現在、日本では飲料水に認められているPFOA、PFOS濃度は1リットルあたり50ナノグラムだが、かつて1リットルあたり70ナノグラムという緩い制限しか設けていなかったアメリカでは、近年PFAS問題への関心が高まり、ニュージャージー州やカリフォルニア州などでは13ナノグラムまで基準が厳しくなっている。

 小泉氏によると、PFOAやPFOSは現在、消火器やフライパン、撥水加工繊維などの民生品だけでなく、半導体製造装置など工業的な用途でも広範に利用されているため、有害性が明らかになっても政府は直ちに全面禁止などの措置は取りにくいだろうと指摘する。ということは、われわれは一人ひとりが賢い消費者となり、自分の身は自分で守らなければならないということだ。

 今年最後のマル激は、小泉昭夫氏に「永遠の化学物質」PFASの歴史や用途、毒性などをイロハのイから聞いた上で、こうした汚染から身を守るために何をしなければならないかなどを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。また、番組中では沖縄のPFAS問題を継続的に取材し発信しているジャーナリストのジョン・ミッチェル氏と、映画「ダーク・ウォーターズ」の主人公のモデルで、PFAS汚染によって健康被害を受けた住民によるクラスアクション(集団訴訟)の代理人として、テフロンで有名な米デュポン社から莫大な損害賠償金を勝ち取ったロバート・ビロット弁護士にも話を聞いた。

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