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2011年05月28日公開

フェアトレードで被災地支援を

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第528回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
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ゲスト

東京経済大学現代法学部教授

1952年東京生まれ。1977年東京大学教養学部教養学科卒。1989年タフツ大学フレッチャー国際法外交大学院修士課程修了。NHK記者、国際協力NGOセンター調査研究主幹、日本国際ボランティアセンター(JVC)ラオス事務所長などを経て、2000年より現職。著書に「『南』からの国際協力」、「フェアトレード学」など。

著書

概要

 東日本大震災は東北地方を中心に未曾有の被害をもたらしたが、震災発生直後から被災地には多くのボランティアが結集し、資金面でも多額の義援金が集まっている。
 しかし、ボランティアや寄付に加えて、もう一つ誰にでもできる被災地支援がある。それがフェアトレードの考え方を利用した「買い物による被災地支援」だ。
 甚大な被害を受けた被災地が、復興までに長期にわたる支援を必要としているのに対し、ボランティアや義援金は震災発生直後には大いに盛り上がりを見せるが、一過性に陥りがちな欠点がある。しかし、フェアトレードは持続可能な支援となる可能性を秘めているという点で、大いに注目に値する。
 元来フェアトレードは、大資本や多国籍企業などの搾取に苦しむ発展途上国の農業生産者を守るために考案された理念であり手法でもある。しかし、単に貧しい途上国の生産者に援助を与えて支援するのではなく、彼らが生産する産品を正当な価格で購入することで、彼らが生産者として本来持っている権利を守ると同時に、彼らの尊厳を守り、生産活動の持続性を支援するところに力点が置かれている。支援される人々の尊厳を守りながら、彼らとの連帯を重んじるのが、フェアトレードの特徴と言っていいだろう。
 フェアトレードは最終的には先進国の消費者の購買活動によって支えられることになる。消費者が、公正な価格で生産者から購入されたことが証明されたフェアトレード商品を買うことで、生産者に正当な対価が保障される仕組みだ。消費者は国際的な認定を受けたフェアトレード団体によって認証した商品を買うことで、これに参加することができる。
 NPO論や国際開発協力論が専門でフェアトレードに詳しい東京経済大学現代法学部の渡辺龍也教授は、このフェアトレードの仕組みを被災地支援に活用することを提案している。元々、フェアトレードが、弱い立場にある途上国の人々の生活の改善や自立を、買い物を通じて支援する「連帯活動」であることから、フェアトレードには被災地を支援し、被災地の人々と連帯していく上で応用可能なノウハウが、多く含まれていると考えるからだ。
 まず、一般市民にとって一番身近なフェアトレード的被災地支援方法は、個人個人もしくは小規模な共同購買グループを作って、被災地で生産された産品を直接買い支えることだ。フェアトレード本来の考え方では、購買グループの代表者が一度被災地に入り、生産者との直接対話を通じて定期購入の関係を構築することが望ましいとされるが、それだけの時間と手間をかけずとも、インターネットを使えば容易に被災地の生産者を見つけることができるはずだ。
 また、スーパーやコンビニなどが店の一角に被災地産品コーナーを常設すれば、消費者は容易に被災地支援が可能になる。ヨーロッパのスーパーにはフェアトレード商品のコーナーが常設されているところが多いが、日本でもまずは被災地でこれをスタートさせ、いずれは本来のフェアトレード商品にまで広げていくのも一案だ。
 その他、政府や自治体が学校給食などで被災地調達を増やしたり、レストランや企業の社員食堂などによる被災地支援メニューの導入はどは、既に方々で始まっている。
 フェアトレード団体の認証を受けることでフェアトレード産品であることを証明するフェアトレードラベルも、被災地支援に適用できるかもしれない。NGOなどが明確な基準を作り、ある商品が被災地産品であることを証明するラベルを考案すれば、消費者は被災地産品を容易に知ることが可能になる。類似した2つの商品がある時に、片方にだけそのラベルが付いていれば、多少値段が高くても、そちらを優先的に買おうと考える人も少なくないだろう。
 フェアトレードとはどういう考え方でどのような仕組みになっているのか、欧米先進国と比べて日本でフェアトレードの普及が遅れているのはなぜか、フェアトレードを被災地支援に活用する手段としては、どのような方法が考えられるのかなどを、渡辺氏と考えた。

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