2012年5月26日
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財務省はいかにして政権を乗っ取ったのか

江田憲司氏(衆院議員・みんなの党幹事長)
マル激トーク・オン・ディマンド 第580回

 増税に命をかけるとか言っている野田政権は、一体何を考えているんだろう。そのように感じている人は多いのではないだろうか。もしかするとその感覚は野田政権に限ったものではなく、政治全般に対してかなり以前から抱いていたものかもしれない。
 本来であれば民主的なプロセスを通じて有権者であるわれわれが設置した政府であるはずの政権が、なぜかわれわれの方を向いていない。そして、それではどこを向いているかと言えば、どうやらいつも財務省を見ているということのようなのだ。
 国会では5月17日から「社会保障と税の一体改革」なる法案が審議入りしている。しかし、われわれ国民の多くがより関心を持つ社会保障の改革案など、何も出てきていない。早い話が消費税を5%にあげるための増税案を審議しているだけなのだ。それもこれも政治の全体が、財務省の意図に沿って進んでいる。野田政権は財務省が作ったと揶揄されることが多いが、残念ながらそれは本当のようなのだ。
 橋本政権の総理秘書官として財務省と激しく渡り合った経験を持つみんなの党の江田憲司幹事長は、財務省は今国会で消費税増税法案を通過させるために、ありとあらゆる権謀術数を駆使しているという。そして残念なことに、その多くが野田政権の下では功を奏しているという。
 まず、財務省は増税を実現するために、日本経済の危機を演出するのが得意だと江田氏は言う。最近よく耳にする財政危機論や将来世代へのつけ回し論など、多少でも経済を勉強すればその嘘に簡単に気がつくはずの情報でも、財務省は政治家や言論人、マスメディアなどを通じてそれを巧みに流すことで、簡単に世論を操作してしまう。もはや日本全体が財務省のマインドコントロール下にあると言っても過言ではないと江田氏は言うのだ。
 しかし、なぜ一省庁に過ぎない財務省が、そこまで権力を手中に収めることが可能なのか。江田氏は、財務省傘下にある国税庁の査察権の強大さが、十分に理解されていないと指摘する。有力政治家であればあるほど金銭関係で弱みを持つ人が多い。このことが財務官僚に付け入る隙を与えていると江田氏は言う。実際に江田氏はその力によって、本来行われるべき改革が潰されてきた実態を、何度も目撃していると言う。
 さらに、財務省には組織をあげて省益を守るための「裏部隊」があり、他の省庁とは比較にならないほど強い鉄の結束で、政治家やメディアなどに対するロビーイングを行う高い能力もノウハウも、そしてその仕組みも備わっているというのだ。ほとんどの政治家は、こうした硬軟取り合わせた攻撃に抵抗できず、籠絡されてしまう。
 政治主導を掲げて政権交代を果たした民主党だったが、官僚に対する抵抗力の弱さから、民主党政権で官僚の影響力はかえって強まってしまったと江田氏は言う。橋本内閣総理秘書官時代にかつての大蔵省改革に取り組み大蔵官僚らと対決した経験から、財務省にとって野田首相を消費税増税に政治生命を賭けるというまでに思い詰めさせるのは赤子の手をひねるほど容易であっただろうと言う。実社会での経験に乏しいまま国会議員となり総理にまで登りつめた野田氏には省庁のような巨大組織をマネージメントする能力が備わっていない。しかも同様のことが歴代の民主党総理にも言え、それが民主党の最大の欠点となっていると江田氏は分析する。
 しかし、財務省主導の政治というのは、早い話が経理部がすべてを支配している会社のようなもので、既存の社会的配置の中で最適な解を見出すことには優れているかもしれないが、そこから新たな価値やイノベーションは生まれてこない。財務省が政権を乗っ取った状態が続く限り、今まさに日本が求められているものは生まれてこないと江田氏は指摘する。
 最終的には政治が財務省を抑えるしかないが、それを実現するためには、財務省の手口を知り尽くしたスタッフを配置した上で、政治家は国税がどれだけ探ろうが埃一つでないほど身ぎれいにしていなければならないことを強調する。
 今話題の大阪維新の会との選挙協力についても注目されるみんなの党幹事長の江田氏に、財務省支配の実態とその力の源泉、そしてそれを乗り越えるために何が求められているかなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。

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江田 憲司えだ けんじ
(衆院議員・みんなの党幹事長)
1956年岡山県生まれ。79年東京大学法学部卒業。同年通商産業省入省。橋本通産大臣秘書官(村山内閣)、橋本内閣総理秘書官などを経て98年退官。2002年衆院初当選。09年より現職。著書に『愚直の信念』、『財務省のマインドコントロール』、共著に『「脱・官僚政権」樹立宣言』など。

 

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