アメリカ型金融資本主義の終焉

マル激・トーク・オン・ディマンド マル激・トーク・オン・ディマンド (第392回)

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公開日 2008年10月04日

ゲスト

早稲田大学政治経済学術院教授

1965年神奈川県生まれ。87年早稲田大学政治経済学部卒業。早稲田大学大学院経済学研究科修了。トロント大学経済学研究科博士課程単位取得退学。早稲田大学政治経済学部助教授、ケンブリッジ大学クレア・ホール・カレッジ特別研究員、ジョージ・メイスン大学ジェイムズ・ブキャナン政治経済学センター特別研究員などを経て、05年より現職。専門は経済学史。著書に『経済学者たちの闘い』、『改革の経済学』など。

著書

概要

 29日、金融危機に揺れるアメリカを、更なる激震が襲った。金融機関の破綻を食い止める目的でブッシュ政権が急遽取りまとめた金融安定化法案を、下院が否決したのだ。法案の否決を受け、ニューヨーク株式市場はダウ平均が過去最大の下げ幅を記録するなど、混迷の度合いを一層深めている。
 日本のメディアの論調は、法案を否決した米下院の判断に対して、「内向き」「危機感の欠如」など批判的なものが多いようだ。しかし、法案に反対票を投じた議員たちの主張に耳を傾けてみると、民間の経済活動に政府が介入することへの危険性、政府が無限に膨張していくことへの警戒心や、法外な報酬を受け取ってきた金融機関経営者を血税で救うことへの抵抗感など、重要な問題提起を含んだものが多い。
 反対派議員の多くが「ウォール街救済策」と批判する今回の法案に対する反発は、濡れ手に粟の錬金術ともいわれる現在のマネー経済の手法そのものへの反発とも受け取ることができる。
 そこで、今週は経済学史に詳しい早稲田大学政治経済学術院の若田部昌澄教授とともに、今回の危機と、1930年代の世界大恐慌など過去の金融危機との共通点と相違点を議論した。
 若田部氏は、今週下院が否決した法案は決して完璧なものではないかもしれないが、「火災が起きている以上はまずは消火が必要」との理由から、法案可決の必要性を強調する。ここで手を打たなければ、傷口は更に広がり、結果的により大きな負担を強いられることになる可能性が高いからだ。確かに、ウォール街の破綻は、実体経済にも影響を及ぼすため、政府の救済策はウォール街を救うことで究極的には国民全体を救うことを意図したものと見ることもできる。
 しかし、それでもなお、これまで毎年100億円を超える報酬を受け取ってきた銀行経営者たちを、税金で救済することへの抵抗感は拭えない。また、他の民間企業であれば、どんなに困っても政府は救済などしないはずだ。「金融秩序のため」とは言うが、なぜ政府が金融機関だけを救済することが正当化できるのか。いや、もし金融は公共的なものと主張するのであれば、CEOに100億円単位の報酬を支払うことなど到底容認できないはずだ。
 巨万の利潤を求めた金融機関が暴走した結果、金融危機が起き、そのたびに一時的にでも規制を強化して、パニックを鎮める。われわれはこれからもこのサイクルを繰り返すのだろうか。そして、それは避けられないことなのだろうか。クリントン政権の労働長官で、民主党のバラク・オバマ大統領候補の経済政策アドバイザーを務めるロバート・ライシュの近著『暴走する資本主義』を引き合いに出しながら、拡大し続ける金融経済、ウォール街のビジネスモデルへの疑問などについて、若田部氏と議論した。

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