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2026年10月31日公開

抽象論で裁判官の責任は免れない

大川原化工機の故相嶋静夫さんの遺族が国の主張に反論

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概要

 大川原化工機事件で勾留中に亡くなった同社元顧問の相嶋静夫さんの遺族3人が、逮捕や勾留、保釈却下に関わった裁判官37人の判断は違法だとして国に約1億6,800万円の賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が10月30日、東京地裁で開かれた。国側が、裁判官に違法・不当な目的はなく一連の判断は違法ではないと主張しているのに対し、遺族側はこれに強く反論した。

 この日意見陳述した相嶋さんの次男は、争点が輸出規制の法律解釈と噴霧乾燥機の殺菌性能という物理の問題だったこの事件で、「父は一体何を隠滅することができたのでしょうか。誰に働きかければ法律の意味を変えることができたのでしょうか」と問いかけた。進行性の胃がんが判明した後も保釈が認められなかったことに触れ、「本来、裁判所は捜査機関の暴走を止める最後の砦であるはずです」と訴えた。

 原告代理人の吉田京子弁護士は口頭弁論で、国が依拠する1982(昭和57)年の最高裁判例について、違法・不当な目的は裁判官が職務の趣旨に明らかに反した場合の一例にすぎず、判例はこの事件の先例にはならないと主張した。相嶋さん側は当時、判断の基礎となる記録を見ることも、決定の理由を示されることもなかったと指摘し、このままでは「また身体拘束の下で適切な医療を受けることができずに、誰かが命を落とす日が来る」と述べた。

 会見で弁護団長の高野隆弁護士は、個々の判断の基礎となった資料は裁判官と捜査機関しか知らず、原告側はアクセスできないと述べ、その資料を訴訟の場に提出させたうえで判断の当否を検証すべきだと訴えた。

 相嶋さんの長男は、令状主義の下で裁判所が被疑者の人権を守る中立な機関として機能していたのかはなはだ疑問だと述べ、「警察と検察と裁判所が法律を犯し、大川原化工機だけが法律を守っていた事件だった」と語った。

 国側は1982年の最高裁判例をもとに、仮に裁判官の判断が間違っていたとしても、そこに特別な違法行為などがない限り、裁判官の責任は問われないとする主張を展開しているのに対し、遺族側はそのような抽象論ではなく、個別具体的に裁判官が罪証隠滅の恐れがあると判断するにいたった証拠の開示を求めている。今後は、まずはそれが開示されるのか、そしてその内容が逮捕、勾留、保釈却下を決定する上で合理的なものだったかどうかが問われることになる。

 ビデオニュースでは公判後の原告遺族並びにその弁護団の記者会見の全編を放送する。

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