2014年3月29日
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年金業務監視委員会を廃止して日本の年金は本当に大丈夫なのか

郷原信郎氏(弁護士・年金業務監視委員会委員長)

 消えた年金問題や当時の社会保険庁をめぐる相次ぐ不祥事によって、日本の社会保障を根幹部分で支える年金が危機的な状況にあることが明らかになったのは記憶に新しい。
 その際に、年金業務が適正に運営されているかどうかを監視する目的で、原口一博総務大臣の下で設置された機関が、年金業務監視委員会だった。
 弁護士、社労士、公認会計士など7人の委員から成る年金業務監視委員会は、年金を管轄する厚生労働省ではなく、行政の適正運営を管理監督する権限を持つ総務省の下に設置されたことで、所謂年金族や年金ムラといった年金の利害当事者によらないチェックが可能になり、「運用3号問題」や「時効特例給付問題」など年金運用に関する重要な問題点を監視・指摘し、年金行政を管轄する厚労省や後に社会保険庁が改組された年金機構に対して、改善を求めてきた。
 ところが、この総務省年金業務監視委員会が、この3月末をもって解散になるという。元々2010年4月に当面4年の任期をメドに設置された組織であるため、設置の根拠法が2014年の3月末に失効するための措置ということのようだが、年金業務監視委員会の解散後は、厚生労働省の社会保障審議会のみで、年金業務の適正運営を監視する大役を担うのだというが、これは年金行政の当事者である厚労省自身が人選した委員によって監視が行われることを意味する。
 ちょっと待ってもらいたい。あれだけ大きな問題を抱えていた年金をめぐる諸問題は本当に解決したのか。監督権限を厚労省に戻して、適正な監視が期待できると言い切れるような状況にあるのか。
 国民皆年金で年金加入を全国民に義務づけている日本では、年金問題は1億3000万の全日本人の利害に直接関わる大問題だ。あれだけ多くの問題を抱えていて、解散する直前の会合でも、東日本大震災による行方不明者について、本来の受給資格者のうちどれだけの人に死亡一時金が支払われたのかをまったく把握できていないことが明らかになっているのだ。しかも、その実態調査を求める郷原委員長に対して、委員会が解散されることで高をくくったのか、調査をするかどうかも明言せずに逃げ切ろうとしているさまを見るにつけ、年金運営は本当に適正に行われていると言えるかどうか、甚だ不安と言わざるを得ない。
 発足時より年金業務監視委員会の委員長を務めてきた郷原信郎弁護士に、4年間で明らかになった年金問題の本質とは何だったのか、それは4年間で改善されたのか、委員会が解散して日本の年金運営は本当に健全に行われると期待して大丈夫なのかなどを、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。

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