2006年12月8日
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教育基本法と愛国心のふぞろいな関係

(PART1):鈴木寛氏(参議院議員)
(PART2):鈴木邦男氏(一水会顧問)
マル激トーク・オン・ディマンド 第297回

 愛国心論争に続き、いじめ、未履修、タウンミーティングのやらせ問題などで大揺れに揺れた臨時国会で、教育基本法改正案が早ければ来週中にも可決、成立する。
 今回の改正案をめぐる論争では、やたら愛国心問題がメディアに大きく取り上げられているが、民主党の教育基本問題調査会事務局長を務める鈴木寛氏は、愛国心問題は実は「おとり」である可能性が高いとして、警戒を呼びかける。
 現在日本の教育制度の最大の問題は、教育の責任の所在が明確になっていないことだと鈴木寛氏は指摘する。表面的には地方に権限が委譲されているような形になっていても、実際には人事権などを通じて文科省が、教育の細部にまで実質支配を続けており、自治体やローカルコミュニティが自分たちの判断に基づいて独自の教育を実践することができなくなっている。しかし、霞ヶ関の文科省に全国津々浦々の学校が抱える多種多様な問題へのきめ細かな対応などできるはずがない。また、自治体にとっては、責任は負わされるが権限は無いという現状のもとで、責任ある教育行政など期待するすべもない。
 「文科省は権限を失いたくないために、このタイミングで未履修問題を出してきて、『だから文科省の権限を強めて文科省がしっかりコントロールしなければダメだ』などと主張している」と鈴木寛氏は憤る。
 メディアが愛国心問題や未履修問題に気を取られている間に、教育の地方分権という最も重要な問題に一切触れていない法案が今まさに通ろうとしているというのが、鈴木寛氏の見立てだ。
 しかし、同時に鈴木寛氏は、この議論が左右の路線問題にすり替えられることを警戒しながらも、愛国心問題も実は重大な政治的意味を持っていることを認める。それは小泉政権以降、自民党の中枢では、次の時代の自民党を支える支持層として、「ゴーマニズム宣言」世代をターゲットとしていることが明白になっているからだ。
 今週の前半は、参議院で与野党対決の最前線にいる鈴木寛氏とともに、問題の本質がすり替えられた教育基本法改正問題と愛国心条項を押し込もうとする自民党の真意、そしてなぜ本来は平和政党であるはずの公明党が愛国心法案の成立を急ぐのかなどを議論した。
 そして、後半は民族派新右翼の旗手鈴木邦男氏と、愛国心について考えた。
 もともと右翼活動家として「愛国」を声高に主張してきた鈴木邦男氏は、昨今の愛国論争を換骨奪胎と喝破する。愛国とは上から国が強制するものでもないし、自ら声高に叫ぶものでもないと、過去の自らの活動に対する反省も込めて説く。そして、愛国という言葉を嫌っていた三島由紀夫を引き合いに出しながら、自分本位の愛国には国も迷惑をしているだろうと言う。
 それでは真の愛国とは何か。鈴木邦男氏は、それは国のことを思い、それを自ら行動で示すことだという。そしてそのためには、いきなり自分と国を対等な位置に置く不遜な発想に飛躍する前に、まず自分自身が自立した考えを持てるようになった上で、自分の家族、自分のコミュニティなどを愛することが不可欠であると説く。その延長線上で国を愛することができれば、それは真の愛国になるという。
 「愛国心を声高に叫ぶ人に限って、社会や周囲から嫌われたり、家族を愛せていない人が多い」と鈴木邦男氏は言う。
 更に鈴木邦男氏は愛国と憂国の違いにも触れ、ただ愛するだけでは不十分で、悪いところがあればそれを直していこうとする憂国の姿勢が求められる。現体制を盲目的に肯定しそれを弁護しているようでは、真の愛国者にはなれないと語る。
 愛国運動40年、君が代は5000回以上歌ってきたが、それでも「強制はよくない」と主張する鈴木邦男氏と、真の愛国とは何かを考えた。
 また、編集後記では、年末の第299回、第300回記念特別企画の際の視聴者メールの募集などを告知した。

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