極右勢力に牛耳られたイスラエルはもはや誰も止められないのか
日本女子大学文学部教授
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1980年大阪外国語大学外国語学部卒業。95年総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)。神戸大学国際文化学部助教授などを経て、2002年より東京外国語大学外国語学部教授。09年より現職。
今年2月に国軍がクーデターを起こしたミャンマーでは、抗議する市民への弾圧が激化している。
ミャンマーの宗教や文化に詳しい東京外国語大学の土佐桂子教授は、今回のクーデターは2020年の議会選挙で予想以上に得票を減らした国軍が、市民を力で抑え込むことでしか権力を維持できなくなっていることを露わにしていると指摘する。
2020年11月の選挙で、アウン・サン・スー・チー国家顧問が率いる国民民主連盟(NLD)が476議席中396議席を獲得するなど、民主勢力が大勝した。ところが、ミャンマーでは軍政権下にあった2008年に制定された現憲法で、議会の上下両院ともに4分の1の議席が軍人枠として予め割り当てられている一方で、憲法修正には4分の3の賛成を必要としている。このため軍が反対する憲法改正ができないようになっているのだ。選挙で圧勝したNLDは軍人枠の段階的な縮小などの憲法改正案を提起したが、軍人議員らの反対で否決されている。
ミャンマーの国軍兵士は熱心な仏教徒が多いことから、近年の民主化運動では僧侶が先頭に立って民主化デモを率いれば国軍側も手荒なことはしないだろうという期待があったが、国軍側は最後には僧侶にも容赦なく発砲するなどして、僧侶や市民の期待は裏切られてきた歴史がある。しかし、今回の抵抗運動は、民主化した社会で普通に暮らすことに慣れた市民が、軍のクーデターに強い反発を覚えて立ち上がった側面が強い。今回、国軍がこれを力で抑え込もうとしたことで、ますます人心は国軍から離れることになるだろうと土佐氏は指摘する。
土佐氏はまた、今回ミャンマー国内の少数民族が市民側に対する支援を表明したことで、少数民族と一般市民の距離が縮まったのではないかと語る。これまでミャンマーの市民は少数民族やロヒンギャ問題について、軍が流す情報を鵜呑みにしていたが、実際に自身が軍から弾圧を受けたことで、共闘を考える人が増えることが予想されると言う。
今回の抵抗運動の過去の民主化運動との違いや、ミャンマーの市民やNLDの議員らがつくる連邦議会代表委員会(CRPH)がなぜここまで執拗に軍に抵抗しているのかなどについて、土佐氏にジャーナリストの神保哲生が聞いた。