防災立国の実現には調整機能を担う人材の育成と市民の力が不可欠
マル激 (第1241回)
ゲスト立木茂雄
同志社大学社会学部教授
同志社大学社会学部教授
尼崎のJR宝塚線脱線事故から3週間が過ぎた。しかしこれと前後して、東京・足立区の竹の塚駅踏切の事故や相次ぐ航空機や管制関連のミスなど、事故の連鎖はとどまるところを知らないかに見える。なぜここに来て急に事故が増えているのか。
40年以上にわたり航空機や列車事故の調査に関わってきた医師の黒田勲氏は、その原因をヒューマンエラーが不可避であることを前提とした安全システムを組めていないことにあると指摘する。ミスを最小化する努力を常に怠らないのは当然としても、人間は必ずミスを犯す。その大前提の上に立ち、ミスがあっても重大事故に至らないようなシステムを構築しなければならないところを、ミスを犯さないようにすることばかりに過度のエネルギーを割く余り、真に安全なシステムが構築できていないというのだ。そしてその姿勢は、事故の後に原因追求よりも責任追求を優先する態度にも如実に顕れているという。
いみじくも信楽鉄道事故からちょうど14年目にあたるこの日、黒田氏とともに技術立国と呼ばれて久しい日本が、その成長の過程で置き忘れてきた「何か」について考えた。他、JR宝塚線事故報道のあり方、少女監禁事件についてなど。