なぜ戦後60年がたっても日本は周辺国から信用されないのか。その問いに答えるために、同じく60年前に敗戦を経験しながらも、今日EUの構築という主権委譲まで伴う信頼関係を周辺国との間に築くことに成功しているドイツに注目してみることにした。
ドイツの戦後補償に詳しい拓殖大学の佐藤教授(ドイツ現代史)は、日本が過去の過ちを繰り返さないことを具体的に保証できていないことが、アジア諸国の根強い不信感につながっていると指摘する。
これに対し、ドイツでは、徹底した「過去の克服」を国策として進めた結果、過去の過ちが繰り返される可能性を懸念する人は少ない。今日では被害国側も戦時中に行き過ぎがあったことを認め、ドイツ系住民に対する土地返還が提案されるなど、相互の和解が進んでいるという。
ユダヤ人の大虐殺まで行ったナチスドイツと日本とでは戦争の意味合いが根本的に異なるとの意見はある。しかし、佐藤教授は、日本にも加害責任があるする以上、日本は補償に前向きに取り組む必要があった。にもかかわらず、日本は「賠償」という「敗戦責任」で全ての償いが終わったかのように誤解し、これを放置してきたと説く。
また、日本の歴代政権が謝罪を繰り返してきたことについて佐藤氏は、謝罪は補償意思の表明でなければならず、よってその後の行動が伴わなければ、むしろ不信感は増幅されると語る。
なぜ日本は未だに過去を克服できないのか。ドイツのように周辺諸国の信頼を勝ち取るためには、何が必要なのか。今、日本が歴史問題を解決するためになすべきことを、考えてみた。