防災立国の実現には調整機能を担う人材の育成と市民の力が不可欠
マル激 (第1241回)
ゲスト立木茂雄
同志社大学社会学部教授
同志社大学社会学部教授
日航123便が御巣鷹山に墜落してから20年がたった。あの事故以来、国内で主要な航空機の墜落事故は起きていない。しかし、一歩間違えば大事故となりかねない重大なトラブルはむしろ近年増えている。
公共交通政策に詳しい戸崎氏は、日航機事故以降、航空技術は進歩したが、安全性はむしろ低下していると指摘する。規制緩和によって競争が激化し、コスト削減のために安全対策にもメスが入っているというのだ。例えば、90年には5割を超えていた機体の自社整備が、02年には2割強にまで下がっている。
また、日本では規制緩和が運賃の低下でしか評価されず、安全に対して料金を払う土壌がないことも、航空会社が利益を犠牲にしてまで安全を優先したがらない一因だと戸崎氏は言う。
20年前の事故の教訓は果たして今も生きているのか。航空機は20年前よりも安全になっているのか。20年前の事故の教訓をあらためて再検証するとともに、その後進んだ規制緩和と民営化の元で、公共交通機関に何が起きているのかを、戸崎氏とともに考えた。