トランプのカムバックはアメリカと世界をどう変えることになるか
上智大学総合グローバル学部教授
個人情報保護法をめぐる問題が噴出している。
まず、法律とは関係の無いところで、明らかな過剰反応が広がっている。個人情報保護を理由に子供の学校の連絡網が作れないなどの極端な事例も多発しているという。
しかし、その一方で、本来法案が意図していると思われていた無駄なダイレクトメールや架空請求などは、一向に減っていない。
これで個人情報保護法は機能していると言えるのか。
個人情報保護法は消費者保護には殆ど効力を発揮していないと言い切る弁護士の村千鶴子氏は、「そもそもこの法律は消費者を守るための法律でもなければ、プライバシーを保護することを意図した法律でもない」と切り捨てる。
村氏によると、個人情報保護法は事業者が個人情報を使ったビジネスを展開し易くするために、やっていいこととやってはいけないことの境界線を明示したに過ぎない。盗んだり不正に取得した個人情報を商業利用しない限り、基本的にはこの法律には抵触しないし、万が一違反が発覚しても、懲罰は最高でも罰金30万と非常に軽い。
このように個人情報保護法の効力が疑問視される一方で、警察や行政機関が個人情報保護を理由に不正を働いた公務員の氏名の公表を拒否するなど、この法律を隠れ蓑にした情報公開の後退も顕著になってきている。
個人情報保護法はこのままでいいのか。この法律で誰が得をし、誰が損をしているのか。法案施行1年を迎えた個人情報保護法の功罪を考えた。