会員登録して完全版を視聴
会員登録して完全版を視聴
2025年02月05日公開

FSC認証が目指す持続可能なエコシステムと日本の課題

セーブアース セーブアース (第29回)

完全版視聴について

会員登録して完全版を視聴
完全版視聴期間 2025年05月05日23時59分
(あと88日11時間9分)

ゲスト

1962年神奈川県生まれ。89年京都大学理学部卒業。94年京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。理学博士。専門は人類学、生物多様性保全。89年、京都大学調査隊としてコンゴ共和国に渡り、98年より国際野生生物保全協会(WCS)自然環境保全研究員(コンゴ共和国支部、ガボン支部)。2024年より現職。星槎大学、立教大学等の非常勤講師を兼務。著書に『コンゴ共和国 マルミミゾウとホタルの行き交う森から』など。

著書

概要

 第29回のセーブアースは前回に引き続きFSCジャパン(日本森林管理協議会)事務局長の西原氏と、FSC認証制度と日本の課題について考えた。

 FSCは、林業による資源開発を環境や先住民の人権等に配慮しながら持続的に進めていく方法を協議する場として1994年にメキシコで創設された国際団体。FSC認証はFM(Forest Management)認証を受けた森林で収穫された木材等を使い、CoC(Chain of Custody)認証を受けた事業者だけが加工・流通に携わっている製品に対してFSCが付与する証明で、認証を受けた製品に対してはFSCマークが発行される。木材伐採から生産・流通にいたる全ての過程の中にFM・CoC認証を受けていない材料や事業者が1つでも含まれれば、FSC認証を受けることはできない。

 具体的にはFSC認証を受けるためには、先住民の人権や地域住民との良好な関係、労働者の権利や安全が守られているか、持続可能な形で計画的に資源が開発され生態系の保護がなされているかなど「FSCの10原則」というものが設定されており、これに基づいて認証が行われている。

 1994年の創設以来、FSCマークの認知度は世界的に高まってきている。マークの付いた製品が多数流通する国ほど、環境に関する意識の高さや森林保全への貢献度が高いことの証明となっており、欧米諸国やBRICS諸国でも利用が進んでいる。

 ところが日本では、FSCマークの認知度は依然として低い。長年海外からの森林資源に依存してきた日本が、資源開発や環境への影響に対する関心が低いのは大きな問題だと西原氏は言う。

 日本では消費者の間でもFSCの認知度は低く、実際に店舗などでもマークの付いた製品はほとんど見かけない。企業にとってはFSC認証を得るためにはお金と時間がかかるが、意識の高い消費者がそれを求めれば、認証を取得しないことが企業にとってもリスクになる。しかし、消費者がその価値を認識していなければ、企業にとってもあえて認証を得るメリットはない。日本が世界規模で森林を護り開発に関わる人権を保護する活動により大きく貢献するためには、事業者のみならず消費者の開発や人権に対する意識を上げていく必要があると西原氏は言う。

 前回に続きコンゴ共和国の事例などを参照しながら、FSC認証が目指す持続可能なエコシステムと日本の課題について、FSCジャパン事務局長の西原智昭氏と環境ジャーナリストの井田徹治、キャスターの新井麻希が議論した。

カテゴリー

ディスカッション

コメントの閲覧、投稿は会員限定の機能です

月額1100円で過去全ての放送を視聴。
月額550円で最新放送のみ視聴。

毎週の最新放送の視聴、会員限定放送の視聴、コメントの閲覧と入力が可能になります。>入会について