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2025年05月31日公開

地球をネイチャーポジティブに転換するためにわれわれに何ができるか

セーブアース セーブアース (第32回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2025年08月31日23時59分
(あと90日10時間52分)

ゲスト

1980年東京都生まれ。2002年千葉大学文学部卒業。05年千葉大学大学院文学研究科修士課程修了。04年日本自然保護協会(NACS-J)事務局勤務。同年よりNACS-J職員として国際自然保護連合(IUCN)日本委員会運営に従事。副会長兼事務局長を経て、25年より現職。共著に『基本解説「そうだったのか。SDGs 2020』。

概要

 今回のセーブアースは国際NGOの国際自然保護連合(IUCN)で日本委員会の会長を務める道家哲平氏から、今世界で注目されている「ネイチャーポジティブ」について話を聞いた。

 「ネイチャーポジティブ」とは、2022年にカナダのモントリオールで開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された世界目標「昆明・モントリオール多様性枠組」の中で提唱されている概念で、「2030年までに生物多様性の損失を止め、回復方向に転換し、2050年までに完全に回復させる」ことを目指している。

 国際的な自然保護団体で絶滅の危機に瀕している生物種のリスト「IUCN Red List」で知られる国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)は現在、47,000種以上の生物を絶滅危惧種に指定している。2010年には約20,000種だったことを考えると、15年間で絶滅の危機に瀕する生物が2倍以上に増えたことになる。現在地球の生態系が「ネイチャーネガティブ」な状態にあることは明らかだ。これを如何にネイチャーポジティブに転換させていくかが課題となる。

 道家氏は、地球が現在「ネイチャーネガティブ」に陥っている要因は大きく5つあると指摘する。それは、森林伐採などの自然破壊、野生生物の乱獲、外来種の持ち込み、化学汚染、気候変動だ。これらはどれも人間が経済的な利益の追求のために行ってきたことだ。

 そして、このような「ネイチャーネガティブ」の状態を脱却すべく、採択されたのが「昆明・モントリオール生物多様性枠組」だ。具体的に23の行動目標が設定されているが、中でも重要なものの一つが「30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標」と呼ばれるもの。これは、2030年までに地球上の陸・海それぞれの30%以上を自然公園や鳥獣保護区、自然共生サイトといった保護地域に指定し、生態系を回復させるという目標だ。

 また、23の行動目標の中には企業が取り組むべきことも示されている。具体的には、企業は自分たちの事業が自然環境に与える影響を調べ、消費者や投資家に対して開示するべきということだ。道家氏は、これは企業自身の価値を高めることにもつながると言う。さらに、自然環境は一企業だけで保全することはできないため、周辺企業や自治体、NGOとの連携も求められていると指摘する。

 道家氏は、消費者である私たちにも、将来世代のために「自分には何ができるか考えてほしい」と語る。地域産や旬の食材を選んで購入すること、FSCなどの認証マークがついた商品を選んで購入することなど、できることはたくさんあると言う。

 「ネイチャーポジティブ」とは何か、その実現のために、われわれ一人ひとりに何ができるのかなどについて、道家氏と環境ジャーナリストの井田徹治、キャスターの新井麻希が議論した。

ディスカッション

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