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2020年01月08日公開

これが世界の左派が掲げる反緊縮政策だ

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第978回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
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ゲスト

立命館大学経済学部教授

1964年石川県生まれ。87年金沢大学経済学部卒業。92年神戸大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。同年より久留米大学経済学部教授。2008年より現職。著書に『左派・リベラル派が勝つための経済政策作戦会議』、共著に『そろそろ左派は経済を語ろう』、『「反緊縮!」宣言』など。

著書

概要

 安倍政権が歴代最長の政権を維持できているのは、何と言ってもこれまでごとごとく選挙に勝利してきたからだ。そして、その勝因は常にアベノミクスに代表される経済政策だった。実際、安倍政権は安保法制や秘密保護法、共謀罪などの難しい法案を可決させてきたが、毎回選挙で問われたのはそうした安全保障政策や社会政策ではなく経済政策だった。野党がアベノミクスへの対案を提示できていないことが、安倍政権の長期政権化を可能にしてきたと言っても過言ではないだろう。

 立命館大学経済学部の松尾匡教授は、アベノミクスに一定の評価を与えながらも、それに対抗する経済政策を提示することは十分に可能だと語る。それが左派による反緊縮経済政策だ。

 これは必ずしも日本に限ったことではないが、われわれはどんな政策を実行するにも財源の裏付けが必要だと強く思い込まされてきた。そして財源とは税収もしくは国債つまり借金によって賄われるものであり、借金が膨らみ過ぎると財政破綻のリスクが増すので、緊縮政策をとらなければならないと教えられてきた。

 ところがこの考え方に異を唱える勢力が世界で台頭している。イギリス労働党のコービン党首やアメリカ大統領選挙に出馬中のバーニー・サンダース候補やオカシオ・コルテス下院議員など世界各国の左派の間で反緊縮政策を提唱する勢力が支持を集めているというのだ。最近注目を集めているMMT(現代貨幣理論)もその流れを汲む。日本では山本太郎氏れいわ新選組が、反緊縮を前提とする再分配政策を主張して先の参院選を戦い躍進している。

 松尾氏によると、こうした反緊縮左派は、財政危機論は新自由主義者のプロパガンダだと主張する。財政危機を煽り緊縮財政を推し進めれば公的社会サービスが削減され、民間に新たなビジネスチャンスが生まれる。また、公有財産を切り売りすれば大資本が儲かり、しかも新自由主義が目指す小さな政府が実現するといった具合だ。

 反緊縮左派の考え方は、非常に明快だ。要するに、通貨発行権のある政府はデフォルトリスクはまったくないので、財源が必要であれば通貨をジャンジャン刷って財源を賄えばいいというのだ。

 そんなことをすれば大変なインフレになってしまうと考えるかもしれないが、不完全雇用の間はどれだけ通貨を発行してもインフレは悪化しないというのは、今日では反緊縮派に限らず、主流派・非主流派のケインジアンに共通する経済政策の考え方だと松尾氏は言う。インフレにある程度の上限を設けた上で、そこまでは通貨の発行によって社会政策の財源を賄っていくのが反緊縮派の経済政策の要諦となる。

 その一方で、松尾氏は通貨の発行により確保した財源を、医療、教育、社会保障などの社会サービスの拡充に再分配し、より公平な世の中を志向する政策を提案することにより、安倍政権が掲げるアベノミクスとの対立軸を明確にすることができると語る。財界や大企業の意向を強く受けた安倍政権には、再分配や公平な世の中を志向する政策路線は採れないと考えるからだ。

 より公平な社会を作るためには再分配が必要だが、そのために財源が不可欠だ。しかし、税の累進性を高めることで富裕層への課税を強化したり法人税を増税するだけでは限界がある。

 もし反緊縮派の主張するように財政赤字を気にせずに再分配をすることができれば多くの施策が選択肢に入ってくるが、そもそもそんなことは可能なのか。反緊縮政策とはどのような考え方に基づいていたもので、そこに落とし穴はないのか。反緊縮派の重鎮の松尾氏に、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。

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