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2021年06月19日公開

台湾有事の現実味と日本への影響を考える

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1054回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2021年09月19日23時59分
(終了しました)

ゲスト

1963年福井県生まれ。85年防衛大学卒業。98年筑波大学大学院修士課程修了。85年海上自衛隊入隊。第101飛行隊長、駐中国防衛駐在官、海上幕僚監部情報班長、第21航空隊司令、 防衛研究所研究部などを経て2010年退職。13年より東京財団研究員、17年より現職。著書に『何が戦争を止めるのか』、『中国の軍事戦略』共著に『曲がり角に立つ中国』、『AFTER SHARP POWER: 米中新冷戦の幕開け』など。

著書

概要

 日本はただアメリカの後ろを付いていくだけで、本当に大丈夫なのだろうか。

 アメリカは他国を巻き込んであからさまな中国包囲網の形成に走り、中国は「アメリカは病気だ」とこき下ろすなど、米中関係が退っ引きならない状況に来ている。特に台湾を巡る米中の睨み合いは、今年3月、米議会の上院軍事委員会の公聴会でアメリカ太平洋軍のデービッドソン司令官が向こう6年以内の軍事衝突の可能性が高いと証言するなど、日本の目の前で2つの核超大国がドンパチをおっ始める可能性が現実のものとなってきている。

 しかし、当の日本は、4月の日米首脳会談でも台湾情勢を引き合いにしながら両国の懸念対象として中国を名指しにする共同宣言に署名するなど、相変わらずのアメリカ一辺倒の姿勢しか見えない。菅首相の多国間外交デビューの場となった、今週のG7サミットの首脳宣言でも、まったく同じ表現で中国が名指しにされ、そのたびに中国の報道官が激しくアメリカを罵るというパターンが半ば常態化している。そしてその間も休むことなく中国の軍備増強は続き、東アジアの安全保障は不安定の度合いを増しているのだ。

 それでは台湾を巡り米中が実際に軍事衝突するような事態は本当に起こり得るのか。また、万が一にもそうなった場合の備えが日本はできているのか。

 ここに来て台湾情勢が厭が応にも緊迫せざるを得ない事情はいくつもあるが、先ずなんといっても、中国の香港に対する強硬な介入政策を見せられた台湾が、中国の「一国二制度」の将来に強い不安を抱いたことが大きい。あれを見せつけられた台湾で中国に親和的な政権が生まれる可能性は低く、中国は台湾問題の平和的解決を断念しているとさえされる。しかし、その一方で、台湾問題の解決は中国にとっては国是といっても過言ではない重大な国家課題でもある。これは、もはや中国にとって台湾問題は、軍事力で解決するか、あるいは圧倒的な軍事力を背景に半ば強制的に併合を実現するしか選択肢がなくなったことを意味する。

 安全保障政策、とりわけ中国の軍事が専門の小原凡司氏によると、中国とアメリカでは軍事力ではまだアメリカが優位ではあるが、その差は縮まってきている。しかし、とは言え中国はまだアメリカが怖いので、アメリカとの軍事衝突は避けたいのが中国の基本的な外交スタンスだと言う。

 しかし、もう一方のアメリカも、台湾を護るためのコストを自国だけで負担するつもりはないので、多国間による対中包囲網を形成し、日本にもその中で大きな役割を演じさせようとするだろう。バイデン政権は中国の台湾への侵攻を抑止するためとして、第1列島線上の統合精密攻撃ネットワークや第2列島線上の統合防空ミサイル防衛体制構築にPDI(Pacific Deterrence Initiative=太平洋抑止イニシアチブ)予算として2022年には 46億8千万ドル(約5,000億円)、2023年から2027年の5年間では226億9千万ドル(約2兆5,000億円)を議会に要求しているが、日本にもPDIへの参加、つまり資金協力や自衛隊の参加を求めてくることは必至だ。

 現時点では中国はアメリカとの真正面からの衝突は避けたいし、アメリカも単独で中国と対峙する気はないことから、台湾を巡り両国が軍事的に相まみえる事態は、直ちには想定しにくいと小原氏は言うが、とは言え両国が睨み合いながらギリギリのところで現在の東アジアの軍事バランスが保たれていることだけは間違いない。何かの間違いで不測の事態に陥る可能性とは常に隣り合わせだ。また、中国はアメリカとはやりたくないが、日本は怖くないので、巧みに日米の分断を図りつつ日本にちょっかいを出してくる可能性もある。

 小原氏は日本では台湾有事を想定した議論は、少なくとも政府レベルではほとんどまったく行われていないと指摘する。先週、国会も閉会してしまったが、コロナ対策と五輪対策だけで汲々としている現在の菅政権に、台湾有事まで視野に入れた外交政策の方向性を示すよう求めるのは、無いものねだりの無理筋というものなのだろうか。

 しかし、そもそも台湾有事は平和安全法制で定めるところの「存立危機事態」に該当するのか。万が一台湾有事となった時、台湾に在留する2万人を超える日本人をどうやって救出するのか。台湾からの大量の避難民が日本に向かってくる可能性もある。日台関係は日本からのワクチンの贈与などで非常に良好な状態にあるとされるが、日本のすぐ裏庭で軍事衝突が起きた時に日本が無傷でいられるはずがない。議論もない状態のままで何かあった時に対応できるはずもなく、また場当たり的な対応に終始するのが関の山だろう。

 平和を守るためには普段の努力が必要だ。平和にただ乗りを続ける者が増えれば増えるほど、平和は危うくなる。今週は自衛隊出身で中国の軍事問題の専門家でもある小原氏に、そもそも台湾有事の蓋然性はどれほど高まっているのかや、米中それぞれが本音で考えている事、いざ有事となった場合の日本への影響や、日本がそのために備えておくべきことは何かなどを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が聞いた。

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