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感染が拡大してもスウェーデンが独自のコロナ対策を貫ける理由

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1012回)

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完全版視聴期間 あと22時間19分
公開日 2020年08月29日

ゲスト

元駐スウェーデン特命全権大使

1953年北海道生まれ。75年東京大学法学部卒業。同年厚生省入省。年金局長、社会保険庁長官などを経て2010年から13年駐スウェーデン日本国特命全権大使。17年より日本赤十字社常任理事。著書に『スーパーモデル・スウェーデン 変容を続ける福祉国家』、共著に『スウェーデンのアール・ブリュット発掘:日常と独学の創造価値』など。

著書

概要

 スウェーデンコロナ対策に色々な意味で注目が集まっている。

 新型コロナウイルスが猛威を奮う中、欧米諸国が軒並み外出禁止や都市封鎖など強制力を伴う強い行動制限を導入する中、スウェーデンはロックダウンを行わず、コロナへの対応を国民の自主的な判断に委ねることを選択をした。当初、その「英断」が話題になり、ロックダウンされたパリやロンドンがゴーストタウン化する中、ストックホルムのカフェで普段通りに家族との外食や友人との会話を楽しむ市民の姿とともにスウェーデンの独特なコロナ対策が紹介され、世界から羨望の眼差しが注がれた。

 ところが4月以降、スウェーデンの死亡者数が急増したため、「スウェーデンのコロナ対策は失敗だったのではないか」との観測が拡がり、打って変わってスウェーデンのコロナ対策に対する報道は批判一色になった。

 しかし、スウェーデンはそうした批判も、死亡者の急増もものともせず、ロックダウンを拒否するとともに、「ソーシャルディスタンス」や「調子が悪ければ自宅待機」などを推奨しつつ、対応を市民に委ねる政策を堅持し続けている。

 スウェーデンのコロナ対策を詳細に取材してみると、いくつかの特徴が見て取れる。中でも、日本のコロナ専門家会議(現在の分科会)に相当する政府機関の「スウェーデン公衆衛生局」が政府から独立した強い権限を与えられており、公衆衛生局によって科学的に根拠のある政策が推奨され、それがそのままスウェーデン政府のコロナ対策となっている点が特筆される。また、情報公開が徹底されており、公衆衛生局でコロナ対策の責任者を務めるアンデシュ・テグネル首席疫学者は記者会見を毎日を開き、記者の質問の手が挙がらなくなるまで説明責任を果たしている。

 公衆衛生局では科学的根拠が重視されるため、「ロックダウンに科学的な根拠はあるか」などが連日議論され、デグネル氏はコロナとの戦いは長期戦が予想されるため、近視眼的な対応に陥ることなく、長期に持続可能かつ科学的に根拠がある施策を模索した結果、現在のコロナ対策がもっとも妥当なものだと判断したと語っている。また、テグネル氏はスウェーデンのコロナ対策は、医療体制を維持することが至上命題であり、それが実現できている限りは、現在の方針を変えるつもりはないとも語っている。

 スウェーデンが集団免疫を獲得するためにロックダウンを避け、あえて感染者を減らす努力をしていないかのような報道が一部であるが、テグネル氏を始めスウェーデン政府のコロナ対策関係者で集団免疫の獲得をロックダウンをしない理由として挙げる人はいない。これは完全に誤報、もしくは誤解のようだ。テグネル氏もインタビューで、副産物として集団免疫が獲得できるのなら喜んで受け取るが、それを目指してコロナ対策を考えたことはないと明言している。

 ではスウェーデンは、自国のコロナによる人口当たりの死亡者数が、アメリカやイギリス並に高くなっている事をどう受け止めているのだろうか。実はスウェーデンでコロナの感染が拡がり始めた当初、死亡者が増えた原因は、介護施設に住む高齢者の間でコロナの感染が拡がったことだった。こうした介護施設で働く介護従事者はパートタイムの労働者が多い。彼らは高福祉・高負担で知られる社民主義国家スウェーデンの他の労働者のように、休業補償を受けることができないため、体調が悪くても政府が推奨するように自宅待機などしていられない。出勤しなければ賃金が得られない身分なのだ。

 ここに現在のスウェーデン社会の厳しい側面を見て取ることができる。スウェーデンは北欧の社民主義的な国柄で知られるが、実は日本人には想像もできないほど個人主義が浸透した競争社会を形成している。「スウェーデン・パラドックス」とも呼ばれる、外からは想像し難いこのスウェーデンの競争原理の下、介護施設の多くは現在、外国資本によって運営され、労働者の多くは低賃金の移民労働者が占めている。

 休業補償を前提に、調子が悪ければ自宅に待機すればいいし、自主的にソーシャルディスタンスを取るなど、成熟した市民が自らの判断でコロナ対応を考え実行するという、一見優雅に見えるスウェーデンのコロナ対策に、そのような盲点があったことはテグネル氏も認めている。そして、その後スウェーデンは、介護労働者にも休業補償を提供するなどして高齢者保護を進めた結果、現在は死亡者数を抑え込むことに成功している。

 スウェーデンではテグネル氏らが説明責任を果たしていることもあって、死者が急増しても政府のぶれないコロナ対策に対し国民が絶大な信頼を寄せている。この信頼はどこから来るものなのだろうか。

 今週は元スウェーデン大使でスウェーデンの政治や文化に詳しい渡邉芳樹氏をゲストに迎え、テグネル氏のインタビューやストックホルムのカロリンスカ大学病院の宮川絢子医師とのZoomインタビューなども交えながら、スウェーデンの独特のコロナ対策の中身と、それを可能にしているスウェーデンの政治的、社会的背景などについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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