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新型コロナワクチンは国際公共財として考えるべきだ

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1046回)

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完全版視聴期間 あと72日2時間59分
公開日 2021年04月24日

ゲスト

アフリカ日本協議会国際保健部門ディレクター

1969年京都府生まれ。95年東京大学文学部卒業。「動くゲイとレズビアンの会」アドボカシー部門ディレクターなどを経て2002年より現職。19年よりSDGs市民社会ネットワーク政策担当顧問を兼務。共著に『SDGsを学ぶ 国際開発・国際協力入門』、『流儀―アフリカと世界に向かい我が邦の来し方を振り返り今後を考える二つの対話』など。

著書

概要

 変異ウイルスの世界的な感染拡大が続くなか、遅ればせながら日本でもようやくワクチン接種が始まった。

 世界の感染状況は、変異ウイルス出現の度合いやワクチン接種の進捗状況によって、日々変化している。現時点ではワクチン接種が進んでいるイスラエルやイギリスで感染が抑えられている一方で、インドやモンゴルなどで感染者が急増している。

 WHOのまとめによると、ここまで中国のシノバク、英国のアストラゼネカ/オックスフォード大、アメリカのモデルナ、そしてファイザー/ビオンテックの4種類のワクチンが承認され実際に接種されている。それに加えて臨床試験の最終段階に入っているワクチンが80種類あまりあり、その中にはロシアやインド、キューバなどで開発されているものも含まれている。自国のワクチンを積極的に他国に提供するワクチン外交も、今後ますます盛んになるだろうと、国際保健の分野で市民社会の側から活動を続けてきたアフリカ日本協議会国際保健部門ディレクターの稲場雅紀氏は語る。

 日本は先進国でありながら、現時点ではファイザー社からしかワクチンの供給を受けられていない。モデルナ社とアストラゼネカ社とも正式契約はしているものの、まだ日本国内の承認プロセスが終わっていないため、正式な認可がおりていない状況だ。

 国境を無視して広がる新型コロナウイルスには、自国中心の「ワクチンナショナリズム」の発想では、地球規模のパンデミックには対応できない。アメリカはトランプ政権からバイデン政権への政権交代以降、大きく国際協調路線に舵を切っており、新型コロナ対策も同様だ。4月16日に行われた日米首脳共同声明でも「グローバルな新型コロナウイルス・ワクチンの供給及び製造のニーズに関して協力する」とし、日米両国はCOVAXへの支援を強化するとしている。

 COVAXとは、WHOや国際機関が協働するワクチンの製造・供給の国際的な仕組みだ。日本も多額の拠出金を出しているが、日本ではそのことはあまり知られていないと稲場氏は嘆く。今年2月にガーナを皮切りにワクチンの提供を開始し、現在、他の途上国でもワクチン接種が始まっているのは、この仕組みによるものが多い。

 ただし、COVAXの仕組みで供給されるワクチンの量は全体の2割とされており、これだけでは不十分だ。そこで現在議論されているのが、新型コロナワクチンに関する知的財産権の保護を一時的に免除する案だ。去年10月にインドと南アフリカ政府がWTOに提案して、現在57か国が共同提案国となっている。日本を含む先進国は反対の立場をとっているが、ここへきてバイデン政権がどう対応するかに注目が集まっていると稲場氏は言う。4月15日には、175人の世界各国の元首相やノーベル賞受賞者が、バイデン大統領にこの提案に賛同するよう書簡を送っている。

 そもそもワクチン開発を行っている製薬企業には、各国政府や国際機関が拠出した多額の公的資金が投入されている。だからこそ、コロナワクチンは国際公共財として考えるべきではないのかという発想が背景にある。新型コロナワクチンをどう扱うかをきっかけに、これまでの国際的な薬の流通の枠組みが大きく変わる可能性もあると稲場氏は期待を滲ませる。

 国際保健分野で医薬品のアクセスの問題に長く取り組んできた稲場雅紀氏と、新型コロナワクチンの供給についてどう考えるか、社会学者・宮台真司とジャーナリストの迫田朋子が議論した。

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