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2014年12月20日公開

与党圧勝が意味するもの

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第715回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
(終了しました)

ゲスト

1977年東京都生まれ。2001年早稲田大学政治経済学部卒業。03年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。06年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位修得退学。日本学術振興会特別研究員、多摩美術大学非常勤講師、早稲田大学非常勤講師などを経て12年より現職。学術博士(社会学)。著書に『永続敗戦論・戦後日本の核心』、『未完のレーニン・「力」の思想を読む』など。

著書

概要

 総選挙は与党の圧勝となった。
 安倍首相はこの選挙をアベノミクスを問う選挙と位置づけ、経済政策を前面に打ち出して選挙戦を戦ったが、打って変わって選挙から一夜明けた12月15日の記者会見では、集団的自衛権や原発再稼働など過去2年間の安倍政権の政策が信任を受けたとして、そうした政策を今後も邁進させていく姿勢を明確に示した。
 アベノミクスと呼ばれる金融緩和と公共事業を組み合わせた政策そのものも多くの課題が指摘されるところだが、この選挙は決して経済政策だけを問う選挙ではなかった。集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更やベースロード電源としての原発の推進、政府の秘密指定権限を大幅に強化する特定秘密保護法、これまで国是として禁じてきた武器輸出の解禁、愛国教育の推進、非正規雇用の拡大に生活保護の縮小、歴史修正主義とヘイトスピーチの容認、TPPへの参加、メディアへの政治介入等々、これらはいずれも過去2年間の間に日本が経験した劇的な政策変更だった。
 そして、有権者全体の25%とはいえ、この選挙でもっとも多くの票を集めた自民党が、公明党とともに衆院の3分の2を超える議席を獲得したことで、結果的にわれわれはこれらの政策に丸ごと信任を与えてしまった。実際、選挙で自信を得た安倍首相は選挙後の会見で憲法改正についても強い意欲を見せている。少なくとも次の国政選挙となる2016年夏の参院選までは、こうした一連の安倍主義的政策が継続され、更に推進されていくことになる。
 「永続敗戦論」の著者で文化学園大学助教の白井聡氏は、今回の選挙で日本はまさに「敗戦レジーム」に正当性を与えてしまったと指摘する。白井氏が指摘する「敗戦レジーム」とは先の戦争の責任者たちが事実上日本の実権を握り続け、アメリカに隷属することへの引き替えとして、日本を支配し続けることを可能にする現在の日本の政治体制を意味する。残念ながら今回の選挙の結果、日本ではまだ当分の間、アメリカへの隷属を続け、市民や地域共同体の自立を妨げ、戦争の責任はおろか、原発事故の責任さえまともに問うことができない体制が続くことになる。
 確かにかなり絶望的な状況ではあるが、明るい兆しもある。それが沖縄だ。沖縄では野党共闘が成立したため、4つの小選挙区の勝者は共産、社民、生活、無所属だった、また、最高裁裁判官の国民審査でも、沖縄の不信任率は全国平均の倍近くに達し、ダントツで一位だった。また、全国的にも、先の11月26日の参議院の一票の格差裁判の判決で、明確に違憲・無効判決を貫いた山本庸幸裁判官の不信任率は他の裁判官よりも大幅に低かった。実に遅々たるペースながら、敗戦レジームからの自立の萌芽は広がってきている。
 今週のマル激では、まずこの選挙でわれわれが信任した安倍政権の政策とは何だったのかをあらためて再確認することで、向こう何年かの間の日本の針路を見極める。その上で、われわれは何を注視していけばいいのか、この敗戦レジームから抜け出すために、われわれは何をしなければならないのか、何ができるのかなどを、ゲストの白井聡氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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