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ようやく見えてきたコロナ禍と自殺の関係

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1027回)

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完全版視聴期間 あと55日17時間29分
公開日 2020年12月12日

ゲスト

NPO法人ライフリンク代表

1972年東京都生まれ。96年国際基督教大学教養学部卒業。97年NHK入局。『クローズアップ現代』ディレクターなどを経て2004年退職。同年NPO法人ライフリンクを立ち上げ代表に就任。09年11月から10年6月まで民主党政権で内閣府参与。現在、厚労大臣指定法人「いのち支える自殺対策推進センター(JSCP)」代表理事を兼務。共著に『「自殺社会」から「生き心地の良い社会へ」』、『闇の中に光を見出すー貧困・自殺の現場から』など。

概要

 コロナ禍が続き経済の停滞が長引くことで、今年は日本の自殺者が大幅に増えるのではないかと言われていたが、実は今年7月まで、自殺者数は例年を大きく下回っていた。まさにコロナが猛威を奮うただ中にあって緊急事態宣言下の日本では、自殺者の数が過去5年で最低水準を記録していた。

 ところが7月になって、一気に状況が変わってきた。そこまで低水準で推移してきた自殺者数が7月にほぼ例年並みに戻り、そして10月になって自殺者数は一気に激増してしまったのだ。10月の自殺者数は月間2158人と、過去5年で見ても最高水準に達してしまった。

 NPO法人ライフリンクで自殺対策に取り組んでいる清水康之氏によると、非常時には人間は防衛本能にスイッチが入るため、自殺者は減る傾向にあるのだと言う。また、辛いことがあって自殺したいと思っていた人でも、自分の周りが皆、大変な状態になっているのを見ると、苦しいのは自分だけじゃないことが実感でき、辛さが半減する面があるのだという。

 しかし、それでも7月と10月には自殺者は急増してしまった。そして、清水氏はその2回の急増の理由が、有名俳優による自殺とその報道ぶりにあったとみて間違いないだろうと指摘する。

 清水氏のNPOでは自殺をしたいと考える人たちに電話やSNSを通じて相談窓口を24時間開設しているが、そこに寄せられる相談内容も、7月と10月の2人の有名俳優と有名女優の自殺を機に、「ニュースを見て自分も死にたくなった」という類いの相談が一気に急増したという。

 無論、有名人の自殺とそれを受けた洪水のような自殺報道は、トリガー(引き金)として働いたものであり、それ以前に経済的苦境やその他さまざまな理由で生きづらさを覚えていた自殺予備軍とも呼ぶべき人々が大勢いたことは言うまでもない。トリガーが引かれたことでそうした人々が一気に堰を切ったように自殺に走ったとみられるので、全てをそのせいにするのは間違いだろう。

 特に今年は女性の自殺が顕著に増えている。コロナによって少なくとも7万人以上が解雇や雇い止めを受けており、8月の労働力調査によるとパート、アルバイトは前年同月と比べて74万人も減っているが、その大半にあたる63万人を女性が占めているのを見てもわかるように、経済的に苦境に陥っている人の割合は、女性が圧倒的に多くなっているのだ。

 これまで新自由主義的な政策を推し進め、労働法制の規制緩和を進めてきた結果、今や労働者の半数近くが非正規雇用という身分に甘んじることになった。中にはそれを自ら積極的に選択している人もいるかもしれないが、それはあくまで一部だ。企業が非正規を重宝がる最大の理由は、雇い止めなどが容易にでき、不要になった時に雇用の調整弁として簡単に使い捨てにできるからに他ならない。そして、今コロナ禍の経済的影響が、特に飲食や観光の分野に顕著に出始めた時、そこで働く大量の非正規雇用の労働者たちが、文字通り路頭に迷うような状態に陥っていることが、データによって裏付けられている。そして、その大半を女性が占めていることは、紛れもない事実なのだ。

 清水氏はメディアに対しては、せめてWHOが出している「自殺報道ガイドライン」に準拠した報道を望みたいと語る。ゲーテの「若きウェルテルの悩み」を読んだ若者が、主人公に倣って一斉に自殺してしまった事例になぞらえて、自殺報道に触発されて多くの人々が自殺に走ってしまう現象をウェルテル効果と呼ぶそうだが、単にニュースとして報じているつもりでも、それが大勢の自殺を誘発していることをメディアはもっと自覚する必要があるだろう。

 そして、もちろん自殺の原因となる経済的な苦境やその他もろもろの自殺原因を除去していく施策も政府、民間、個人をあげて必要になるだろう。しかし、清水氏はそれだけでは不十分だと言う。

 確かに、自殺の原因となるファクターには複合的なものがあるが、それをどんなものが占めているのかはある程度分かってきており、ある程度の対策は可能なものもある。しかし、人が自殺に走ってしまう理由は、単に自殺したい原因因子が揃っているからではなく、それを上回るだけの「生きたい」と思わせる因子が足りないからでもある。「人生捨てたもんじゃない」と思える機会が少ない社会では、ちょっとした悩みでも死にたくなってしまう人が大量に出てしまいかねない。日本よりも遙かに貧しい国の多くが日本より自殺率がずっと低いことをわれわれはどう考えるべきなのだろうか。こんなに豊かな世界に生まれながら、毎年何十万という人を死にたいと思わせ、実際に毎年2万人が自殺を選択してしまう日本は、どこに問題があるのだろうか。

 一時、年間3万人を超えた自殺者が2万人程度まで減ったことで、自殺問題がある程度小康状態にあるかのような印象を受けている方も多いかもしれないが、それでもまだ2万人だ。毎日日本のどこかで50人以上の人が自殺しているのだ。これだけ国をあげての大騒ぎになっているコロナの死者が、日本ではようやく2500人に達しようかというところであることを考えると、やはりこの数字は異常だし、その問題に対するわれわれの無関心も、まだ自分たちが自殺のトリガーとなっていることを自覚していないかのようなメディアの自殺報道も、やはり異常としかいいようがない。

 今回は長年自殺問題に取り組んできた清水氏と、コロナと自殺の関係や、平年とコロナ禍における自殺原因との違い、自殺を減らすためにわれわれが今できることは何かなどを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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