消費増税では日本の財政は救えない

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第677回)

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公開日 2014年04月05日

ゲスト

法政大学経済学部准教授

1974年東京都生まれ。97年京都大学理学部卒業。同年大蔵省(当時)入省。大臣官房文書課審査官補、埼玉大学非常勤講師、一橋大学経済研究所准教授などを経て13年退官。同年より現職。経済学博士。財務総合政策研究所上席客員研究員などを兼務。著書に『アベノミクスでも消費税は25%を超える』、『2020年、日本が破綻する日』、共著に『金融依存の経済はどこへ向かうのか』など。

著書

司会

概要

 そもそも何のための増税なのだろうか。
 4月1日から消費税率が8%に引き上げられた。僅か3%ポイントというが、6割の増税である。

 今回の増税の大義名分は「日本の社会保障を守るための安定的な財源確保」とされ、社会保障の膨張で危機的な状況にある日本の財政を再建するためには、どうしても消費増税が不可欠であると説明されている。われわれの年金や医療保険を守るためにはやむを得ないと考え、厳しい経済状況の下で増税の苦難を甘受している人も多いにちがいない。

 しかし、法政大学准教授で財政問題に詳しいゲストの小黒一正氏は、今回の消費増税では財政再建は達成できないし、社会保障も守れないと断言する。

 仮に日本がアベノミクスでデフレから脱却し成長軌道に乗ることができたとしても、現在の日本の財政構造は社会保障関連の義務的経費が、増税による税収の増額分を上回るペースで増えているため、今回程度の増税では到底財政再建など夢のまた夢だというのだ。
 小黒氏によると消費税を1%上げるごとに2.7兆円程度の増収が見込まれる。しかし、少子高齢化が進む中、社会保障関連費は毎年3兆円ペースで増え続けている。消費税1%の増収分はわずか1年で相殺されてしまう計算になる。今回は3%の増税だから、3年ほどで食いつぶす計算になるが、これでは社会保障関連費を賄うだけのために、3年後から毎年1%ずつ消費税を上げないと追いつかないことになる。しかも1%の増税では、辛うじて社会保障関係費の増加分を補うだけで、予算全体の不足分を解消して、貯まっている借金の元本を減らすなどとても無理な状況だ。

 現在でも日本の一般会計予算が、50兆円規模の赤字で辛うじて運営されていることを考えると、仮に日本のGDP総額約500兆円が年2%ずつ成長して税収が増えたとしても、公債依存度50%、累積債務残高1,000兆円以上という惨憺たる財政の現状は全く変わらないことになる。アベノミクスでデフレから脱却し経済が成長軌道に乗れば、日本にも明るい未来への道筋が開けてくるかのような話が流布されているが、それは全くの誤解であり、安倍首相がどんなに力説しようが、また日本経済がどんなに成長軌道に乗ろうが、今後消費税は上げつつけなければならないというのが実情だと、小黒氏は言う。
 それでは、日本が財政破綻を避けるためには、一体どこまで消費税を上げないといけないのか。小黒氏は、現在の財政構造では、毎年の歳入と歳出を同じ規模にして赤字を無くすという最低限の現状維持だけでも、「25%から30%の消費税が必要になるだろう」と試算する。しかもこれだけ消費税を上げても累積債務1,000兆円のうち、その利払いをかろうじてカバーするだけで、元本は丸々残ったままなのだ。

 財政を再建するには、税収を増やして歳出を抑える以外に有効な手立てはない。しかも、ここまで財政状況が悪化したら、5年、10年ではなく、20年、50年の時間をかけて改善していくほかない。数パーセントの消費税率の引き上げや成長戦略だけでは全く焼け石に水だ。まずは年金や医療を含む社会保障制度を抜本的に見直すなどして、歳出を大幅に削減することが急務だが、今の政府にそれを実行する意欲も能力も、そしてその気概も、とても期待できそうにない。また、そもそも国民にその痛みを受け入れられる用意があるとも到底思えない。

 今回の消費増税で日本の社会保障を守ることができるのか。財政再建は可能なのか。財政の実態を参照しながら、ゲストの小黒一正氏とともに、歳出削減の先にある社会保障制度改革の必要性やアベノミクスの効果と副作用、今後の消費税の在り方などについて、経済学者の小幡績氏と社会学者の宮台真司が議論した。

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