トランプ政権の1年はアメリカと世界をどう変えたのか

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第878回)

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公開日 2018年02月03日

ゲスト

成蹊大学法学部教授

1975年兵庫県生まれ。96年東京大学法学部卒。米・ラトガース大学大学院を経て、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。甲南大学法学部教授を経て、2014年より現職。専門は比較政治・アメリカ政治。著書に『移民大国アメリカ』、『アメリカ政治―制度・文化・歴史』など。

著書

概要

 トランプ政権の誕生から1年が過ぎた。

 いざ大統領になれば多少は大統領らしく振る舞ってくれるにちがいないとの淡い期待を背負って船出したトランプ政権だったが、発足直後からイスラム移民の排斥やメキシコ国境の壁建設を命ずる大統領令を乱発したのを皮切りに、とりわけ人種や人権、環境面では選挙戦中にも増した過激な言動や行動に揺れた1年だった。

 1月31日のトランプの一般教書演説は、過去の大統領の演説と比べると、ほとんどアメリカの理想が語られていない上に具体性にも欠けるなど、至って凡庸かつ拙劣な演説だったが、もはやトランプの十八番となった不規則発言や暴論の類が無かったというだけの理由から、「これまでにない出来映えだった」などと高い評価をされる始末だ。

 気がついてみればトランプ政権は最初の1年で、TPPやパリ協定や国連のユネスコから離脱し、NAFTA(北米自由貿易協定)も再交渉を始めるなど、かつての国際社会の秩序の守護神からその破壊者へと立場を180度変えてしまった。エルサレムをイスラエルの首都と認定したことも、中東和平の仲介者の役割を事実上放棄するものだった。国内的にも長い年月をかけてアメリカが適応してきた環境規制を一気に緩和したり撤廃するなど、アメリカの時計の針を少なくとも20年~30年分は巻き戻すような政策を次々と実施している。

 こうした政策選択は一部の有権者には受けがよく、短期的にはアメリカに利益をもたらす可能性もある。しかし、長期的には国際社会におけるアメリカの地位を低下させ、アメリカの国力の衰退をもたらすことになりかねない、危ないものばかりだ。

 また、その間、大統領選挙戦中にトランプの陣営がロシア政府と共謀して選挙に介入を試みたとされる、いわゆる「ロシア疑惑」も、ウォーターゲート事件を凌ぐアメリカ政治史上最悪のスキャンダルに発展する可能性が依然、否定できない。現時点でロシア疑惑は、特別検察官が任命され大統領の側近が相次いで起訴される中、トランプ自身は自らの関与は否定しているが、近々、大統領自身への事情聴取が取り沙汰されるなど、今後の政権運営にも大きな影響を及ぼす可能性がある。また、仮にトランプはロシアとの共謀に関与していなくても、その捜査に介入した「司法妨害」が成り立つ可能性もある。

 11月に中間選挙が予定される2018年は、怖い物見たさ半分で様子を窺っていた有権者もそろそろ本気でトランプ政権の成果を見極めようとするだろうし、現在進行形のロシア疑惑捜査の行方がどうなるかも未知数だが、いずれにしてもこれまでのような出たとこ勝負の政権運営には早晩限界が来るだろう。そうなった時にトランプ政権がどこに向かうのかは、まったく予断を許さない。より現実的かつ穏健路線に転じる可能性もある一方で、3割といわれる過激な鉄板支持層を堅持するために、より過激な方向に向かう可能性もある。

 トランプ政権の存在は、とりわけ人種や人権面でアメリカ社会に大きな影響を与え始めている。アメリカの大統領には究極のロールモデルとしての役割が少なからずあるからだ。特に子どもたちにとって大統領の言動は、今のアメリカで何は許され、何は許されないのかを判断するための重要な規範になる。歯に衣着せぬ本音トークと言えば聞こえがいいが、人種、宗教、人権などでアメリカがこれまで守ってきた一線が大統領自身の手によって次々と壊されてきたことの影響は、アメリカ社会のみならず世界に大きく波及している。

 日本でもかつて、例えば選挙制度や情報公開やNPO法のような、民主主義の制度改革が争点になるたびに、アメリカを参照点にするのが常だったが、今は何ごとにおいてもアメリカを模範とすることが難しくなっている。下手をするとアメリカが悪い見本の典型ように語られることも少なくない。困ったことに「これでも日本の方がアメリカよりまし」などと、現状肯定の言い訳に使われることも珍しくない。

 腐ってもアメリカはアメリカなのだ。

 トランプ政権の誕生はアメリカや世界をどう変えようとしているのか。アメリカはこのまま衰退してしまうのか。そもそもトランプ政権はどこまで持つのかなどについて、アメリカ政治、とりわけ移民政策に詳しい西山氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。

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