日本の再エネはなぜ増えないのか
環境エネルギー政策研究所所長
1959年山口県生まれ。83年京都大学工学部卒業。同年神戸製鋼所入社。電力中央研究所勤務を経て96年東京大学大学院先端科学技術センター博士課程単位取得退学。2000年NPO法人環境エネルギー政策研究所を設立し、現職。著書に『北欧のエネルギーデモクラシー』、共著に『コミュニティパワー エネルギーで地域を豊かにする』など。
6月にドイツ・ボンで国際会議が開かれるなど、自然エネルギー促進の動きが世界的な高まりを見せている。北欧諸国やドイツでは、既にそのシェアは5%を越え、10年以内に2割のエネルギーを賄うことが可能になるところまできている。しかし、本来技術先進国であるはずの日本では、自然エネルギーの割合は現在で0.3%、10年後の目標でも1%台にとどまり、依然として原発依存から脱却するためのシナリオさえ描けていない。
このままでは日本は21世紀の国際社会から、経済的にも環境政策面でも、大きく遅れを取ることになると警鐘を鳴らす環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏は、日本のエネルギー政策転換を妨げている最大の要因として、独占的地位を享受し続ける電力会社の政治力をあげる。
独占企業の圧倒的な影響力とそれに群がる官僚主義、政財官のもたれ合い、御用学者が幅をきかせる学会・審議会、記者クラブ問題といった構図は、通信や郵政事業にも共通する日本病の一つの要諦を成しているかにみえる。
自然エネルギーが軌道に乗るための必須条件とされる地域自立型経済の確立の可能性と、岐路に立つ日本のエネルギー政策の現状を、飯田氏とともに考えた。