これから日中関係はどこへ向かうのか

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第665回)

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公開日 2014年01月11日

ゲスト

ジャーナリスト

1964年愛知県生まれ。88年北京大学中文系中退。週刊文春記者を経て2003年よりフリー。著書に『中国の論点』、『平成海防論 膨張する中国に直面する日本』など。

著書

概要

 2013年も押し迫った12月26日、突如として安倍首相が靖国神社に参拝した。首相としては2006年の小泉首相以来、7年ぶりの靖国参拝だった。

 前回の首相在任期間に靖国への参拝を果たせなかったことを「痛恨の極み」と悔いていた安倍首相だが、予想通り中国や韓国が激しくこれに反発したばかりでなく、今回はアメリカやEU、ロシアなどからも批判や懸念を表明する声があがった。これは安倍政権としても想定外だったようだ。年明け早々、実弟の岸信夫外務副大臣や腹心の谷内正太郎NSC(国家安全保障会議)局長をアメリカに派遣するなど、後処理に追われている。

 靖国参拝によって、日中間の正当性をめぐる外交ゲームはパワーバランスを変えたかもしれないと指摘するのが、ゲストで中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰さんだ。

 経済発展を実現し軍事力の増強を続ける中国は、法や秩序を蔑ろにしたまま周辺への膨脹をも辞さない危険な国として国際的には警戒されている。尖閣を含む両国間の問題を日本にとって有利な形で解決するためには、そのような国際世論に訴えることが最大の戦略であり、最強の武器だった。富坂氏は昨年11月に中国が防空識別圏を一方的に設定したことで、国際社会の中国への評価はさらに悪化しており、「対中関係を日本有利に運ぶことが可能になりつつあった」と言う。しかし、そんな矢先の靖国参拝によって、国際社会の日本に対する評価は厳しいものになってしまった。一国の首相が自らの心情を優先するあまり、国際政治上の損得を無視してとった行動によって、日本は大きな国際政治上の利益を失った。まずはそのことをしっかりと認識する必要がある。「安倍首相は中国が仕掛けた罠にまんまと嵌まってしまった」と残念がる。

 それにしても、2012年に野田政権が尖閣諸島を国有化して以降、日中関係は新たな、そして日本が過去経験していないレベルの鬩ぎ合いに入ったように見える。中国の習近平政権は対日強硬姿勢を隠そうともせず、軍事力による威嚇、示威行為をあからさまに行うようになっている。しかし、今回の安倍首相による靖国参拝は、ここまでの中国側の強硬路線を正当化し、国際社会まで中国側に肩入れしかねない格好の材料を、わざわざ日本側から提供したことに他ならならないと、富坂氏は指摘する。

 更に厄介なことに、習近平政権の対日強硬姿勢はもともと反日感情が強い中国国民の支持を集めていることだ。これだけ日中関係が悪化していても中国国内で反日デモなどが起きていないのは、中国の公民の多くが習近平なら日本には厳しく対応してくれるだろうという期待感があるためだと富坂氏は言う。習近平政権は国内事情からも対日強硬路線を維持せざるを得ないようだ。

 そうこうしている間にも、尖閣周辺海域には毎日のように中国船が出没し、領海侵犯も日常化している。昨年1月には中国フリゲート艦による日本艦艇へのレーダー照射事件が起きている。その後も一歩間違えば武力衝突がいつ起きてもおかしくない緊迫した状態が続いてきている。しかも日中間には不測の事態を避けるためのホットライン、緊急連絡回路が確保されていない。同じく関係が悪化している韓国との間には、現場レベルのホットラインを通じて毎日1日40~50回ものやり取りがあるという。短期の改善が望めないまでも、要らぬ衝突を避けるための対話の回路を設置することは特に日本にとって重要なのではないか。

 もはや日中・日韓問題にとどまらず、国際社会の関心事となってしまった首相の靖国参拝問題を、われわれはどう考えればいいのか。安倍首相の靖国参拝を受けて、日中間には衝突を避け関係を改善する手立てはあるのか。中国国内の政治・経済事情を考慮に入れつつ、今後の日中関係の行方について、ゲストの富坂氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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