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2014年11月15日公開

地球温暖化交渉と世界の潮流から取り残される日本

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第710回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
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ゲスト

WWFジャパン気候変動・エネルギーグループリーダー
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1978年埼玉県生まれ。2001年立命館大学国際関係学部卒業。03年ボストン大学大学院国際関係論・環境政策修士課程修了。WWFジャパン気候変動担当オフィサー、同気候変動プログラムリーダーを経て11年より現職。共著に『脱炭素社会とポリシーミックス』、『平和学をはじめる』など。

著書

司会

概要

 アメリカのオバマ大統領と中国の習近平国家主席は11月12日、温室効果ガスの削減や非化石燃料への転換などを含む温暖化対策で合意した。これまで頑なに温室効果ガスの削減目標を拒否してきた中国が、長期目標とはいえ、削減の目標値に合意したことは、世界に驚きを持って迎えられた。
 言うまでもないが、中国とアメリカは世界の2大二酸化炭素排出国だ。特に中国は、深刻な大気汚染など環境対策の遅れが目立つ印象が強いが、実際は風力発電では新規導入量、累積発電量ともに群を抜いて世界一を独走し続けており、着実に脱化石化の布石を打ってきている。また、一方のアメリカも、累積の風力発電量では首位の座を中国に譲ったものの、依然として世界第2位をキープしている。
 一切の削減目標を拒否してきた中国と、ブッシュ政権下で京都議定書から離脱し、国連を舞台とするCOP(気候変動枠組み条約締約国会議)からも一定の距離をおいてきたアメリカが、具体的な削減目標を打ち出したことで、2015年に予定されている京都議定書に次ぐ新たな国際的CO2削減の枠組みの実現が、俄かに現実味を帯びてきている。
 国際環境NGOのメンバーとして2006年から継続的にCOP交渉に関わってきた山岸尚之氏は、人類が地球温暖化の影響を受容可能なレベルに抑えるためには、地球の気温の上昇幅を2度以下に抑えられるかどうかがカギになるとされ、それを目指した新たなCO2削減の枠組みが模索されているという。しかし、現実には気温の上昇を2度のtipping point(臨界点)以下に押さえ込むためには、世界は2050年までに二酸化炭素の排出量を現在の4割から7割も削減しなければならないというのが現実だ。気候変動の原因たるCO2の削減を目指して世界が話し合いを始めてから今年のリマ会議で20年目を迎えるが、交渉に膨大なエネルギーが割かれる一方で、世界の温室効果ガスの排出量は着実に増え続けているのが実情だ。そのような状況の下で、次の35~36年でCO2の排出量を最大で7割減らすことは、少なくとも現時点ではあまり現実味がないのも無理からぬことだ。
 しかし、今月発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次報告書には、人類がこのまま有効な手を打たないままCO2の排出を続けた時、どのような事態が待ち受けているかが詳細に検討されている。それによると、このままCO2の排出を続けた場合、地球の平均気温は今世紀末に最大で4.8度上昇し、その副作用として最大82センチの海面上昇、熱波の長期化、より極端な豪雨の頻発化などが避けられなくなると予想している。それは洪水や台風、山火事や干ばつといった激しい自然災害の頻発にとどまらず、食料生産の減少や海面上昇などによって居住が不可能になった何百万、あるいは何千前という人々の大量の人口移動など、その影響はわれわれの想像を越えた凄まじいものになるとみられている。
 そのような事態はなんとしても避けなければならない。そうした共通認識の下で、世界は新たなCO2削減の枠組みを懸命に模索しているが、山岸氏はそうした中における日本の存在は日に日に小さくなっていると指摘する。気候変動の国際交渉の場において、世界が温室効果ガス削減に向けて歩み出す第一歩となった歴史的な京都議定書のホスト国としての存在感はもはや見る影も無く、もはや世界の潮流から取り残され始めているというのだ。地球温暖化に対する国民的な議論がほとんど行われず、地球温暖化と言えば依然、懐疑論が幅を利かせているようなお寒い状態では、日本の政治家も官僚も、こうした世界の流れに積極的にコミットできないのはある意味で当然とも言える。
 人類の地球温暖化を阻止するための交渉は成就するのか。米中合意が新たな局面に入った地球温暖化交渉における世界の潮流と日本の実情について、ゲストの山岸尚之氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と国際政治学者の山本達也が議論した。

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