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2013年10月05日公開

そろそろ異常気象の原因を真剣に考えてみないか

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第651回)

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ゲスト

国立環境研究所気候変動リスク評価研究室長
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1970年神奈川県生まれ。92年東京大学教養学部卒業。97年同大学院総合文化研究科博士課程修了。同年、国立環境研究所入所。地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室長などを経て、11年より現職。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書主執筆者。著書に『異常気象と人類の選択』、『地球温暖化の予測は「正しい」か?』など。共著に『温暖化論のホンネ - 「脅威論」と「懐疑論」を超えて』など。

著書

概要

 今や常に世界中のどこかが、熱波や干ばつ、豪雨や洪水、台風、などに見舞われている。世界の気候がいよいよおかしくなっているように思えてならない。
 ご多分に漏れず日本でも、猛暑による熱中症で大勢の人が救急搬送されるのが当たり前になった。その一方で、熱帯のスコールと見紛うばかりのゲリラ豪雨が日常化、竜巻が観測されるようになった。天気予報でよく耳にしてきた「観測史上最高の〜」という言い回しは、「これまでに経験したことのない〜」に取って代わられつつあり、異常気象が異常でなくなってきている。
 世界に目を転じると、異常気象は更に大きな被害をもたらしている。今年は欧州・ロシアが大雨と洪水被害に見舞われ、ドイツ、チェコなどではそれぞれ2万人が避難を強いられた。アメリカでは昨年10月にハリケーン「サンディ」が東海岸一帯を襲い、ニューヨークでは高潮による洪水、それに伴う停電などで40人以上が死亡して被害総額190億ドルもの損害を出した。
 被害自体は大きく報道されるが、なぜか異常気象の原因に触れる報道や議論は少ない。国立環境研究所気候変動リスク評価研究室長の江守正多氏によると、そもそも気候の変化とは、大気や海流の変動といった「内部変動」と、自然由来の太陽活動の変動や火山の噴火活動である「自然起源の外部要因」、そして人為的な活動による温室効果ガスの排出や開発による陸地面の変化、ダム建設による水流の変化など「人間活動起源の外部要因」が影響し合って生じている。近年の異常気象は、これらの要因の中でも「人間活動起源の外部要因」が大きく影響している可能性が高いという。
 9月27日に公表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書も「気候システムの温暖化については疑う余地がなく、人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の主要な要因であった可能性が極めて高い」と、人間活動に由来する外部要因が地球環境に与える影響の深刻さを指摘した。
 異常気象がこれだけ私たちの日常生活に大きな影響を与えているにもかかわらず、議論がその原因に至らないのはなぜか。それは温暖化をめぐる議論はなかなか冷静な議論が難しいからだと江守氏は指摘する。
 そもそも地球温暖化自体は100年あるいはそれ以上にわたる長期のスパンで影響が顕在化する問題だが、人々が数年先の事を考えて行動する余裕すらなくなってきている昨今、100年先の事まで心配するのは容易ではない。しかも、その問題に真剣に対応しようとすれば、ライフスタイルを変えたり経済活動に対する制約を受け入れるなど、大きな痛みを甘受しなければならない。そして、更に厄介なことに、世界中の科学者たちの英知を結集させたIPCCでも、地球温暖化が人間由来であることは95%の確率でしか断言できていない。まだ5%の確率で人間由来ではない可能性が残されていると、IPCC自身が認めているのだ。
 そのような状況であるが故に、地球温暖化をめぐる議論は、科学的な根拠のない感情的な議論に陥ったり、もっぱら経済効率を優先する立場だけを主張してみたり、あるいは環境保護を絶対視する議論が交錯し、神学論争に終始してしまうことが多いと江守氏は言う。
 しかし、神学論争をしている間にも、大気中の二酸化炭素濃度は増え続け、過去80万年で最も高い水準に達している。地球温暖化はある均衡点を超えた段階(tipping point)から突如として激しい 気候の変動が起きるclimate surprise(気候サプライズ)の存在は、以前から指摘されてきた。昨今の異常気象の頻発はいよいよ地球がそのtipping pointに近づいていることを示唆しているのではないのか。
 今あらためて、われわれは地球温暖化の問題をどう捉えればいいのか。ゲストの江守正多氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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