この再審法改正で冤罪被害者は救えるのか
衆院議員
7月31日に国家情報局が発足する。
これまでバラバラに存在していた政府の情報機関を一元管理するためだという。政府の情報収集能力強化に強いこだわりを持つ高市政権の肝いり政策の一つだ。
しかし、政府の情報収集能力を強化するのであれば、同時にそれを監視する機能も整備されなければならない。監視なき情報収集活動は容易に暴走や濫用を招く恐れがあるからだ。
今回の「ディスクロージャー&ディスカバリー」では、国家情報局発足を7月31日に控え、自衛隊による個人情報収集疑惑や行政機関のSNS運用、国会における情報公開制度の課題を取り上げ、情報収集と民主的統制のあり方を考えた。
番組ではまず、熊本日日新聞が報じた陸上自衛隊中央情報隊配下の「現地情報隊」による個人情報収集疑惑を取り上げた。記事は、自衛隊が大学教授やNPO関係者らについて、氏名や学歴、職歴だけでなく、思想信条や交友関係、借金の有無や性的指向など極めて機微性の高い情報を「個人ベーシックソースデータ(BSD)」と称して収集・管理していたことが、実際にその活動を行っていた元自衛官によって明らかにされたと報じている。
それが事実だとすれば、この情報収集は従来の公安警察などによる「監視」とは性格が異なる点に注意が必要だ。収集対象となった人々は通常公安が監視対象にしている反政府活動家ではなく、むしろ将来的に情報源として協力を得られる可能性のある人物だった。なぜ協力を得たい相手の借金や性的指向を知る必要があったのか。それをどのように利用することが想定されていたのか。そして、実際にそれがどう使われたのかなどはすべて藪の中だ。利用目的が明確でなければ情報収集の適法性を検証することができず、民主的な統制も働かない。
政府が安全保障上必要な情報を収集することには一定の合理性がある。しかし、収集目的や法的根拠、収集した情報がその後どのように管理されているのか、目的外利用は防止されているのかといった点が極めて曖昧なまま、情報収集機能だけが強化されていくのは、極めて危険な兆候と言わねばならない。情報機関が集めた情報を一元管理する前に、それぞれの情報機関の情報収集活動の監視機能や法的な根拠の整備が、先に来る必要があるのではないか。
また、日本では国会における情報公開のあり方にも問題が多い。国会は情報公開法の対象になっていないため、議員立法が行われた場合、法案作成過程や法制局とのやり取りなど、行政機関であれば当然開示されるべき情報の公開が義務づけられていない。その結果、なぜその条文になったのか、どのような議論を経て成立したのかなどを後から検証することが難しい。また、政府の情報活動を監視する機能を国会に持たせた場合も、同様の問題が生じる。国会が情報公開法の対象になっていない以上、国会の情報公開基準を定める法律なり制度なりの強化が急務ではないか。
国の安全保障と市民の自由は、どこで折り合いをつけるべきなのか。国家情報局の発足を目前に控え、自衛隊による個人情報収集疑惑や国会の情報公開上の課題を入口に、情報収集機能の強化と民主的統制をいかに両立させるかについて、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した。