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だから安倍・菅路線では日本は幸せになれない

マル激・トーク・オン・ディマンド マル激・トーク・オン・ディマンド (第1019回)

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公開日 2020年10月21日

ゲスト

早稲田大学人間科学学術院教授

1959年石川県生まれ。82年東京大学教育学部卒業。88年東京大学大学院博士課程修了。博士(社会学)。静岡大学教員、武蔵大学社会学部教授などを経て2013年より現職。著書に『中流崩壊』、『アンダークラス 新たな下層階級の出現』、『新・日本の階級社会』など。

著書

概要

著書『アンダークラス 新たな下層階級の出現』や『新・日本の階級社会』などを通じて、日本にも「一億総中流」の合言葉とは裏腹に高度経済成長の直後から経済的格差が広がり始め、近年にいたってはそれが日本に「下流階級」なる新たな社会的階層を生んでいる実態について警鐘を鳴らしてきた早稲田大学人間科学学術院の橋本健二教授が、月刊誌『世界』11月号にとても興味深い調査結果を発表していた。それは橋本教授自身が東京近郊に住む約5600人を対象に(そのうち有効回答数は約2300人)、2016年に行った調査の結果をまとめたもので、調査対象者に政治的課題や社会問題に対する様々な質問を行い、そこで得られた回答をもとに、経済格差の拡大が人々の政治的なスタンスにどのような影響を及ぼしているかを分析するというものだった。

質問の内容は「貧困になったのはその人が努力しなかったからだと思うか」や「政府は増税をしてでも恵まれない人への福祉を充実させるべきと思うか」といった貧困に関係したものから、「沖縄に米軍基地が集中していても仕方がないと思うか」や「中国人や韓国人は日本を悪く言い過ぎると思うか」といった安全保障や人種に関するものまで多岐に渡る。と同時に、当時の安倍政権の評価や学歴、世帯収入や総資産額に加え、年齢、身長なども質問項目に含まれていた。また、『世界』の記事には紹介されていなかったが、他にも「同性愛は好ましいことではないと思うか」や「政府の政策はお金持ちを優遇していると思うか」などの質問も含まれていた。

調査に答えた約2300人の回答を精査した結果、回答者を一定の共通性を持った3つの集団(クラスター)に大別できることが明らかになったと橋本氏は言う。それは「新自由主義右翼クラスター」と「穏健保守クラスター」と「リベラルクラスター」の3つだ。この3つのクラスターは、回答者の中に自然発生的に形成された3つの塊を、その回答内容の特性をもとに橋本氏自身が命名したものだ。ちなみに全回答者に占める新自由主義右翼の割合が10.2%、穏健保守が38.9%、リベラルが50.9%を占めていた。

新自由主義右翼クラスターというのはその3分の2が、貧困は個人の責任に帰すると考え、中国人や韓国人に嫌悪感を覚え、日本は軍隊を持つべきと考え、沖縄に米軍基地が集中するのはやむを得ないことだと考える人たちだ。また、その77.5%を男性が占め、同じく7割強が大卒で、平均世帯収入や総資産も他のクラスターを大きく上回るという特徴を持っている。大卒比率はリベラルが43.9%、穏健保守が50.6%だったのに対し、新自由主義右翼では73.4%だった。また、総資産額もリベラルの平均が2661万、穏健保守が3109万だったのに対し、新自由主義右翼は4921万だった。なお、リベラルの男性比率は46.8%で、リベラル層は過半数を女性が占めていることも明らかになった。

そして、最後に回答者のクラスター別支持政党を見ると、数の上では全体の1割に過ぎない新自由主義右翼の63%が自民党を支持していた。これに対し、数的には過半数を超え、他のクラスターを凌駕してもおかしくないリベラルクラスターのなんと7割が、「支持政党なし」と回答していた。穏健保守も57%が「支持政党なし」と答える一方で、自民党支持は3割強にとどまっていることから、現在の自民党が、数の上では少数派に過ぎない新自由主義右翼クラスターの圧倒的な支持に支えられている政党であり、自民党が彼らの存在を無視して選挙に勝つことがあり得ない立場に立たされていることが浮き彫りになった。その一方で、野党、とりわけ旧民主党勢力が、数的には過半数を占めるリベラルクラスターの支持をほとんど得られていないところに、現在の政治が閉塞したままになっている根本的な原因があることも露わになった。

しかし、問題は小さな政府を標榜する新自由主義者の主張に沿って規制緩和を進め、経済を市場原理に委ねれば、自ずと格差は生まれる。それと並行して富の再配分が行われなければ、格差は確実に拡大を続け、貧困層に落ちる人の数は日増しに増えていく。貧困層は当然購買力も弱いため、この階層の人口が増えれば、経済成長など望むべくもなくなる。実際、富裕層に対する負担がより大きい消費税の導入と税率のかさ上げ、富裕層に対する所得税減税とキャピタルゲイン税減税、大企業を優遇する法人税減税と租税特例措置、相続税減税等々の例を見るまでもなく、この四半世紀の間に日本が行ってきた改革のほとんどが税の再分配機能を弱める方向への一方通行の改革だった。自民党が数の上では少数派の新自由主義右翼クラスターに引っ張られている限り、規制緩和が進む一方で、再配分は一向に期待できない状況が続くことが避けられそうもない。

これはひとえに、本来自民党内の多数派を形成しているはずの穏健保守クラスターと、自民党の対抗勢力を後押ししなければならないはずのリベラルクラスターが、「支持政党なし」などと暢気なことを言っている間に、数の上では圧倒的に少数派であるはずの新自由主義右翼クラスターに、日本の政治が自民党もろとも乗っ取られてしまったことを意味している。先の自民党総裁選で、党内で比較的に再分配を重視する穏健保守路線を主張する岸田文雄政調会長(当時)と石破茂元幹事長が、安倍路線の踏襲を明言し規制緩和を旗印に掲げる菅義偉官房長官(当時)に大差をつけられて敗北したのが、現在の自民党の立ち位置を示す上での象徴的なできごとだった。

一方で野党は、旧民主党、民進党から袂を分かっていた立憲民主党と国民民主党が合流し、再出発を果たした新・立憲民主党が、その綱領で新自由主義との決別を明言し、再分配路線を明確に打ち出している。新・立憲民主党が「支持政党なし」と答えたリベラルクラスターからの信頼を取り戻すことができるかどうかも、今後の日本の針路を占う上で重要なカギを握る。

いずれにしても、他の多数派クラスターが暢気に構えている間に、数としては全体の1割に過ぎない、いやむしろ少数派だからこそ、かなり極端な主張と他のクラスターには見られない高い熱量を持った勢力に引っ張られる形で、必ずしも大多数の日本人が好ましいとは考えていない政策が実行に移され、結果的に経済的にも社会的にも、そして政治的にも延々と閉塞状態が続く現在の状況は、決して好ましいものとは言えないだろう。

格差の現状とそれが生み出している政治状況を検証した上で、そこから抜け出すための方策などについて、格差や貧困問題の専門家で今回の調査を行った橋本教授と、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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