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2008年09月27日公開

自民党システムの終焉

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第391回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2020年01月01日00時00分
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ゲスト

1958年高知県生まれ。84年東京大学文学部西洋史学科卒業。93年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。静岡県立大学国際関係学部助手、学習院大学法学部助教授を経て96年より現職。99年〜01年オックスフォード大学客員研究員を兼任。著書に『自民党政権下の政治エリート』、『自民党政治の終わり』など。

著書

概要

 自民党がおかしい。結果が見えているにもかかわらず、妙に演出ばかりが目立った総裁選を経て、9月24日、麻生政権が誕生したが、就任直後から首相は、民主党に勝つことこそが、新首相の最大の責務であるとの考えを公言して憚らないのだ。そこには、これからの日本をどのようにリードしていくのか、現在の日本が抱える諸問題にはどのように対応していくのか、また野党とのねじれを乗り越えて、どう国会を運営していくのかといった、政権与党としての基本的な使命感や矜持が、ほとんど感じられないといえば、言いすぎだろうか。
 自民党政治が、戦後半世紀の間、日本の政治を支配し、戦後復興から高度成長を可能にし、日本を世界の経済大国にまで押し上げる原動力であったことは、すでに歴史が証明している。しかし、自民党政治を研究してきた学習院大学の野中尚人教授は、自民党支配の根底にあった「自民党システム」は既に崩壊し、自民党の時代は終焉を迎えていると言い切る。
 野中氏の言う自民党システムとは、族議員が多様な意見をボトムアップで吸い上げ政策に反映させる、高度に民主的な仕組みを含んでいた。また、政務調査会など党内に巨大な政策立案機能を抱え、国会に諮る前に族議員を中心に党内で丁寧な合意形成を行う点も、自民党システムの特徴だった。
 族議員が合意形成や意見集約に機能を果たす一方で、派閥が若い議員の面倒を見るとともに、政治教育の場を提供してきた。そして、派閥の幹部が説得することで党内での合意形成が可能となり、小選挙区制や消費税の導入など困難な法案を成立させることが可能だったと、野中氏は指摘する。また、一見、当選回数による派閥順送り人事のように見えて、実際はポストをめぐる熾烈な競争も裏で繰り広げられていた。
 ところが、小選挙区制の導入によって自民党システムの要だった派閥制度は崩れ、トップダウンの小泉改革で、ボトムアップの根回し型意志決定システムは、完全にその息の根を止められてしまった。冷戦構造が崩れ、日米同盟がもはや自明なものでなくなったことも、高度成長が終わり、自民党システムを使って配分する利益が消えてしまったことも、自民党システムをさらに弱体化させる原因になったと野中氏は指摘する。
 自民党システムが機能するための前提が崩れ、システム自体が崩壊した今、自民党がこの先も長期にわたって政権政党の座にとどまり続けることは困難だろうと、野中氏は予想する。また、もし仮に自民党が政権にとどまることになったとすれば、それは党名は自民党のままでも、実質的な中身は、これまでの自民党とは全く違ったものになっているはずだとも言う。
 しかし、もし仮に野中氏の言うように、自民党システムが機能しなくなっているとしても、それを全否定することには注意が必要だろう。その中には、日本が時間をかけて培ってきた普遍的な資産が含まれている可能性も十分にある。一旦これを失えば、次に政権の座につく勢力は、ゼロからすべてを再構築しなければならなくなる。
 これまで日本を統治し、日本の発展を支えてきた自民党システムとは何だったのか。また、どのような理由で、この自民党システムは機能しなくなってしまったのか。仮に民主党が政権政党となった場合、強固な自民党システムに匹敵する新たな統治システムを構築できるのか。
 自民党政治への批判と絶望が高まるなか、戦後日本社会を作り上げてきた自民党の政治運営の仕組みにあえてもう一度焦点を当て、その功罪を議論した。

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