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結局のところ安倍・菅政権とは何だったのか

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1068回)

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公開日 2021年09月25日

ゲスト

ノンフィクションライター

1961年福岡県生まれ。86年岡山大学文学部卒業。出版社勤務、週刊新潮編集部次長などを経て、2003年より現職。著書に『墜落 「官邸一強支配」はなぜ崩れたのか』、『泥のカネ 裏金王・水谷功と権力者の饗宴』、『悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞』(2018年大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞受賞)など。

著書

概要

 9月29日、自民党が新たな総裁を選出し、10月4日には国会での首班指名を経て、新しい内閣が発足する。

 今回の自民党総裁選は安倍と2つの政権が不祥事やコロナ対策の失敗で国民の支持を失い、相次いで退陣に追い込まれたことを受けたものだ。当然、次の政権にとっては、何が安倍、菅政権が国民の支持を失うことになった原因だったと考えているかを明確にした上で、それをどう改めようと考えているかが最優先の課題とならなければおかしい。

 ところが、メディアが連日連夜、時間を割いて総裁選のニュースを報じ、候補者たちは党がセットした「政策討論会」なる舞台セットの上で、毎日のように侃々諤々の論戦を交わしているかのような演出が続く中、肝心のテーマは置き去りにされたままだ。もちろん肝心のテーマとは、そもそも新首相となる候補が不本意ながら退陣に追い込まれた安倍、菅政権の政治をどう捉えているかだ。より具体的に言えば、内閣人事局の発足などによりこれまでにないほどの絶大な権力を手にした日本の首相が、いかにしてその権力を国民のために行使し、行使した権力についてどこまで説明責任を果たすのか、またその権力を自らの権力の維持や不祥事の隠蔽のために使うことが許されるかどうか、などだ。これは政策以前の、日本の民主主義のあり方に関わる最も基本的な問題と言っていいだろう。そこに問題があったからこそ、絶大な権力を持ちながら、2つの政権は倒れたのだ。

 ところが、肝心要のこの問題については、どの候補者も口を閉ざしたままだ。実際、一連の討論会は、日本記者クラブにおける一度こっきりの共同討論会を除けば、いずれも記者からの厳しい質問を受けるものではなく、あくまで党や各陣営が用意した舞台設定の上で行われているセルフプロモーション的なイベントに過ぎない。要するに、広報イベントなのだ。だから本来、次の日本の首相になろうかという各候補が当然問われなければならないはずの争点が、ほとんど俎上に上ってこない。実際は売れないシナリオライターが書きそうな陳腐なシナリオに則った三文芝居が演じられているに過ぎないのだが、メディアがここまで劣化してしまった今日、気をつけて見ていないと、あたかも闊達な政策論争や改革論争が交わされ、自民党が大きく変わっているかのような錯覚に陥ってしまいかねない。

 水曜日に投開票が行われる総裁選では、一般党員の票が議員票と同じ比重で数えられる1回目の投票で、一般国民に人気のある河野太郎氏が1位になるなどして、ある程度までは世論を反映したかのような結果が出るのだろう。しかし、それもシナリオのうちだ。河野氏が1回目の投票で過半数の(764票中382票以上)を得て勝利するためには、党員票の7割以上(382票中280票以上)を獲得する必要がある。党員投票に続いて行われる382票の議員投票では河野氏は多く見積もっても100票程度しか取れないと見られるからだ。しかし、ドント方式で382票が割り振られる党員投票で280票を獲得するためには、河野氏は7割以上の党員の支持を得なければならない。4人の有力候補が乱立する中で、どんなに河野氏に人気があろうとも、それは事実上不可能と言っていい。

 その結果、1回目の投票では誰も過半数を得ることができなければ(岸田氏が1回目の投票であっさり過半数を取り勝利する可能性はあるが)、ほぼ議員票によって帰趨が決まる1位、2位候補による決選投票に持ち込まれる。そして決戦投票では、当たり前のように派閥の論理が幅を利かせ、特に2つの派閥で全議員の4割強を押さえている安倍、麻生両氏の意中の候補が当たり前のように勝利する公算が大きい。

 しかも、菅首相が辞意を表明してから総裁選が行われるまでの約3週間の間、自民党総裁選がメディアをジャックしたおかげで、菅政権下で低迷していた自民党の支持率は順調に回復している。まあこれは当初から予想されていた、まさに陳腐なシナリオに過ぎないのだが、既存のメディアが無批判にそのシナリオに乗っかったため、現実がそのシナリオ通りに進むことを許しているのが現状だ。

 これでは安倍、菅政権の政治体質が総括されることなく、ビジネス・アズ・ユージュアルでこれまでのような政治が続くだけだ。それは自民党にとっても日本にとっても、決して好ましいことではないだろう。

 政権内部や官僚機構に深く食い込み、政治の利権構造や癒着、腐敗の実態などを克明に報じてきた大宅賞作家でノンフィクション・ライターの森功氏は、安倍、菅政権が露わにした最も深刻な問題は、首相に権力を集中させた結果、本来の目的だった政治主導が実現するのではなく、むしろ必ずしも能力が高いとは言えない政治家が、政治に擦り寄ることで絶大な権力を手にした官邸官僚の神輿に担がれ、思いつきで人気取りの施策を繰り返す薄っぺらで無責任な権力行使が横行するようになってしまったことだと語る。もちろんその中には失敗を隠蔽するための権力行使も含まれる。

 特に官邸官僚の多くは、省庁では出世争いに敗れたものの、政治に擦り寄ることで自分が所属する省庁よりも上に君臨することに成功した官僚が多い。そのため彼らが考え出す施策は場当たり的だったり、整合性がとれていなかったり、単にできが悪かったりする場合が多い。しかし、絶対権力者となった首相の覚えめでたき彼らには、もはや各省庁の事務次官ですら抗うことはできなくなっている。それが首相の一極支配と官邸官僚政治の実態だと森氏は言う。

 そのような政治の特徴は、絶大な権力を失敗の隠蔽にもフル稼働できるので、平時には失敗や能力の低さを覆い隠すことが可能となってしまうことだ。しかし、今回のコロナ禍のような危機的な状況に見舞われたら最後、どんなに誤魔化しや隠蔽のために権力をフル動員しても、ここまで大きく拡がった感染を全て隠すことはできない。それが安倍、菅政権下でことごとくコロナ対策が失敗し、世界一の病床数を誇り、欧米と比べれば感染者数も比較的少ないはずの日本が、なぜか世界で最も長期間にわたり緊急事態宣言下での行動制限を強いられることになってしまった根本的な原因だった。

 今週は森氏とともに、安倍、菅政権とは何だったのか、官邸官僚政治のどこに問題があるのか、新政権が問われる政治体質の変革とは何なのかなどについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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