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2012年06月09日公開

私が日本には原発が必要だと考える理由

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第582回)

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ゲスト

1953年京都府生まれ。76年東北大学工学部卒業。81年東北大学大学院工学研究科博士課程修了。工学博士。動力炉・核燃料開発事業団(動燃・現日本原子力研究開発機構)、京都大学原子炉実験所助教などを経て2002年より現職。原子力安全委員会審議会委員。著書に『間違いだらけの原子力・再処理問題』、共著に『それでも日本は原発を止められない』など。

著書

概要

 6月8日、野田首相は「国民の生活を守るため」に大飯原発3、4号機を再稼働する意向を発表した。しかし、これは総理自身が説明するように、必要性に駆られての再稼働であり、今後日本が原発とどう付き合っていくかについては、有識者会議や政府・国会事故調の結果待ちの状態が続いていることに変わりはない。

 原子力界の重鎮で京都大学原子炉実験所の山名元教授は福島第一原発事故以降も一貫して原発の必要性を説いてきたことで、方々で叩かれたり吊し上げにあってきたと苦笑する。しかし、それでも山名氏は、現在の日本社会における主要なエネルギー源としての原子力の重要性は揺るがないと主張する。

 国内に独自のエネルギー資源を持たない日本にとって、原子力は高い備蓄効果、少ないCO2排出量、地政学的リスクの低さ等の点で化石燃料やその他のエネルギー源と比べて明らかな優位性を持つと山名氏は指摘する。エネルギー安全保障の観点からも、原発は維持されなければならないというのが、山名氏の立場だ。将来的には経済社会構造の転換によって再生可能エネルギーを中心とする脱原発は可能かもしれないが、そうした変化には40年はかかるため、その間の過渡的ベースライン電源としても、原子力は不可欠であるという。

 また、今回の原発事故について山名氏は、これまでの「深層防護」という概念の技術的瑕疵が明らかになったことで、今後、福島と同じような事故の再発は十分に防ぐことができると言う。安全目標を従来の炉心損傷をさせないというものから環境を絶対に汚染しないということに再設定するべきであるとし、それは工学的にもコスト的にも十分実現可能であると主張する。

 しかし、山名氏自身、原子力に対する社会の理解を得ることが困難であることは認める。山名氏は原子力に対する国民的同意を得るためには、1)これから日本がどういう社会を目指すのかという国の方向性、2)原子力の技術的・物理的安全性、3)原子力組織に対する信頼、4)核科学の専門的知と一般市民の感性との間のギャップの4つの問題が解決される必要があると言う。その上で、山名氏は2)については山名氏自身が解を提供できるが、残る3つについて国民の間に依然強い不信感があるのは当然のことだと理解を示す。

 あれだけの事故を経験した上に、その後、情報の隠蔽などが相次いで明らかになった以上、原子力に対して国民が大きな不信感を抱くことは当然だが、その一方で、原発事故以降、原発反対派と推進派の間の感情的な二項対立の下で、原発をめぐる深い議論が行われていないことを、山名氏は残念がる。

 福島第一原発事故後も一貫して原発の必要性を訴えてきた山名氏に、なぜそれでも日本は原発を維持すべきなのかを聞いた。

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