2011年7月9日
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出版記念特別番組
これからのエネルギーとこれからの社会に向けて

飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所所長)
保坂展人氏(世田谷区長)
マル激トーク・オン・ディマンド 第534回

 エネルギーと社会のあり方は表裏一体の関係にある。こう語る、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏は原発震災以来、再生可能エネルギー分野の第一人者として俄然注目を集め、超多忙な日々を送っている。原発事故というあまり喜ばしい理由ではなかったが、過去10余年にわたり一貫して再生可能エネルギーの推進に貢献してきた飯田氏の努力が、ようやく実りつつあるようだ。
 その飯田氏が、このほどマル激キャスターで社会学者の宮台真司と共著を出した。その名も『原発社会からの離脱 自然エネルギーと共同体自治に向けて』。
 そこで今週のマル激は東京・新宿のライブハウス「ロフトプラスワン」で開催された飯田氏と宮台氏による出版記念のライブトークをマル激スペシャルとしてお送りする。司会はもう一人のマル激キャスター神保哲生が務めた。
 今や押しも押されもせぬ自然エネルギーの第一人者の飯田氏も、かつては自身が命名した「原子力ムラ」の一員だった。その時の経験について飯田氏は、原子力そのものが空洞であることに気づかせてくれたことが、最大の収穫だったと話す。
 その後スウェーデン留学を経て、自然エネルギーへの道を歩むが、飯田氏が見た1990年代初頭のヨーロッパは冷戦の終結からEUの統合へと激しく時代が動く中、電力市場の自由化や炭素税の導入など、矢継ぎ早に自然エネルギーへの舵を切る国が相次いだ時期でもあった。ドイツは自然エネルギー固定価格買取制度の元になる電力供給法を1991年に施行し、スウェーデンのベクショーでは1996年に脱化石燃料宣言が行われる中で、飯田氏はエネルギー政策の転換によって社会が変わる様を目の当たりにしたという。
 エネルギーと社会は密接に関係する。エネルギーの自治を進めることで社会の自治が進むと飯田氏は言う。また、エネルギーの自治は経済の自治にもつながる。秋田県の名産品「あきたこまち」の売り上げが年間約1000億円で、同県の全世帯の光熱費も毎年約1000億円だが、光熱費はすべて東北電力のある仙台へと出て行ってしまう。しかし、もし秋田県内で地域の発電事業が始まり、各家庭でも発電が行われるようになることで、エネルギーの自治が進めば、その1000億は県内で消費され、県の経済を潤すことになる。エネルギーの依存が経済的な依存をも意味する所以がそこにある。
 そうこうしている間に、日本の「失われた10年」は「20年」になり、日本の周回遅れは2周目に入った。もしかすると、この震災は日本がこれまでの依存型の社会から脱却し、新しい自治の社会へと踏み出す最後のチャンスになるかもしれないと飯田氏は言う。
 ライブトークの終盤には、先の世田谷区長選で脱原発を訴えて当選し、初めての脱原発首長となった保坂展人氏が飛び入り参加し、脱原発自治体の可能性について語った。

  • ・福島報告
    郡山市の小中学生14人が安全な環境を求める仮処分申請
  • ・現行基準のまま原発を再稼働していいのか
  • ・この震災を機に原発から地熱発電へ
    レスター・ブラウンが語る原発事故とその後にくるもの
 
飯田 哲也いいだ てつなり
(環境エネルギー政策研究所所長)
1959年山口県生まれ。83年京都大学工学部原子核工学科卒業。同年神戸製鋼入社。電力中央研究所を経て、96年東京大学大学院先端科学技術センター博士課程単位取得満期退学。2000年NPO法人環境エネルギー政策研究所を設立し、現職。92〜06年日本総合研究所主任研究員を兼務。90〜92年スウェーデンルンド大学環境エネルギーシステム研究所客員研究員。著書に『北欧のエネルギーデモクラシー』、共著に『原発社会からの離脱 自然エネルギーと共同体自治に向けて』など。 534_iidamiyadai

 

 
保坂 展人ほさか のぶと
(世田谷区長)
1955年宮城県生まれ。都立新宿高校定時制中退。中学在学時の政治活動の自由をめぐり
「内申書裁判」の原告として16年間戦う。1976年から1996年まで反管理教育の事務所「青生舎」を運営し、ミニコミ誌「学校解放新聞」を発刊。同年衆院初当選(比例東京・社民党)。2009年8月落選。当選3回。2011年世田谷区長に当選。
 
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