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2022年10月08日公開

100年に1度のEV革命に乗り遅れる日本

マル激トーク・オン・ディマンド マル激トーク・オン・ディマンド (第1122回)

完全版視聴について

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完全版視聴期間 2023年01月08日23時59分
(終了しました)

ゲスト

1948年徳島県生まれ。71年東京大学工学部卒業。74年同大学大学院工学系研究科修士課程修了(情報工学専攻)。79年スタンフォード大学経営大学院MBA取得。ベイン・アンド・カンパニー、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン、ゴールドマン・サックス証券、モニター・カンパニー日本代表などを経て2015年より現職。著書に『日本車敗北 「EV戦争」の衝撃』、『図解EV革命 100年に1度のビジネスチャンスが一目瞭然!』など。

著書

概要

 日本が自動車産業を失えば、一体何が残るというのだろう。

 世界で一気に自動車のEV(電気自動車)化が進む中、明らかに日本はその波に乗り遅れ始めているという。EV市場に詳しい経営コンサルタントの村沢義久氏の言葉を借りれば、世界で急速に進むEV化の流れの中で日本はもはや「遅れ始めている」などという悠長な段階は過ぎ、既に「手遅れ」の状態にあると言っても過言ではないのだ。

 実際、世界で最初の量産EVとして注目を集めた日産のリーフは2010年の登場以降、ほんの数年前までは常に世界で最も売れているEVのトップ3にランクインしていた。しかし、その後テスラのモデルS、モデル3を始め、中国BYDのHanや五菱の宏光Mini、ドイツ・フォルクスワーゲンのID.4などが登場すると一気に追い抜かれ、2021年以降はトップ10からも姿を消してしまった。

 コロナで海外に行く人の数が減っていることもあるだろうが、日本に住んでいるとEV革命の息吹を感じ取るのが難しい。なぜならば、世界市場で売れに売れているEVを日本国内で目にすることがほとんどないからだ。都内ではせいぜいテスラのモデル3がたまに走っているのを見かける程度だが、それは、日本はEV用の充電設備の設置が大幅に遅れているため、EVの普及率も欧米やアメリカ、中国などからは大きく引き離されているから当然だ。今やヨーロッパでは新車販売に占めるEVの比率は20%にものぼり、アメリカでも2020年以降はEV販売台数が倍々ゲームで増えているのに対し、日本のEVシェアはここ何年もの間、0.7%あたりで停滞したままだ。それもそのはずで、世界で中国の主要EVメーカーや、フォルクスワーゲン、韓国の現代自動車など世界市場でシェアを大きく伸ばしているEVメーカー各社は、ほとんど日本では販売を行っていない。

 しかも、自民党政権が政策的に再生可能エネルギーのシェアを本気で増やす努力を怠ってきた日本の場合、そもそも発電に占める石油天然ガス石炭などの化石燃料の依存度が依然としてとても高いため、EVのオーナーも「CO2を出さない車に乗っています」と胸を張って言えるような状況にない。ここに来て世界各国がこぞってガソリン車を販売できる期限を決めEVシフトを急ピッチで進める背景に、今や気候危機を越えて気候危機とまで言われるようになったCO2の問題があることは論を俟たないが、福島第一原発の大事故を身をもって経験していたにもかかわらず、10年経った今も再エネ市場を成熟させることができていない日本では、その動機付けが弱く感じられるのも否定できない。

 電気の大半を化石燃料を使って発電していることに加え、充電インフラも貧弱となれば、日本でEVが普及しないのも当然のことだ。しかし、問題は日本国内でEVが売れないこともさることながら、既存の自動車メーカー、とりわけ日本の自動車産業の盟主の立場にあるトヨタでEV化が大幅に遅れ、更に既存の自動車メーカー以外に新たなEVベンチャーも登場しないとなると、日本の自動車産業自体が衰退はおろか、下手をすると壊滅の危機に瀕していると言ってもいいほどの状態にある。

 日本にとって裾野の広い自動車産業は、生産誘発係数と呼ばれる他の産業への波及効果も絶大で、自動車産業の隆盛が他産業、ひいては日本経済全体に与える影響も大きい。また日本にとって自動車は、1978年以来、海外での現地生産分を除いても、輸出品として最大の品目であり続けてきている。今現在も自動車と自動車部品を合わせると、日本の全輸出額の2割近くを占めているのだ。自動車がこれまでの日本の経済発展を支えてきたと言っても過言ではないだろう。その自動車で日本が国際的な競争力を失い敗退することになれば、日本全体への影響は計り知れない。

 ある意味では日本の衰退ぶりを象徴するようなEV革命への乗り遅れはなぜ起きたのか。日本にとって起死回生の一策となる奥の手はあるのか。いずれ日本国内の自動車市場も、世界の主要EVメーカーに席巻されることになるのか。村沢氏とジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

(※本文中、自動車が「1970年以来(中略)輸出品として最大の品目」とあったところを「1978年以来」に修正いたしました。ここに訂正してお詫び申し上げます。)

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